吉田川流域で湛水対策 用排水状況の調査委託へ(北上土地改良)

[2020/8/1 宮城版]
 農林水産省北上土地改良調査管理事務所は、昨年10月の東日本台風で吉田川流域が湛水被害を受けたため、用排水状況の調査業務に着手する。7月31日付で同業務の一般競争入札を公告した。この業務で農業用施設の配置状況を調査・把握し、同じような湛水被害が起きないようにするための対策検討に役立てる。場合によっては施設の増設や機能強化、再編などにつながる可能性もありそうだ。国が事業主体になるかどうかは現段階で決まっていないが、今後なんらかの施設整備を進めることになる。
 吉田川流域に関しては、国営による農村整備事業やかんがい排水事業などが行われておらず、ほとんどが県営の農地整備事業で排水機場などが造られている。このため、国としては既存施設の実体を把握する必要がある。
 同事務所は平成初期の調査結果を基に、吉田川流域の排水受益面積に8800ha、用水受益面積に3800haを想定している。流域の関連市町村は、大崎市、東松島市、富谷市、松島町、大郷町、大和町、色麻町、大衡村の3市4町1村に及んでいる。
 今回委託する調査業務では、鳴瀬川水系吉田川流域で用排水施設の現況を把握するため、流域状況資料をとりまとめた上で、用排水系統図を作成する。履行期間は2021年2月26日まで。
 入札の参加資格は、東北農政局から測量・建設コンサルタント等がA等級で建設コンサルタントの資格認定を受けていることなど。入札は8月3~21日に参加申請書と技術提案書を受け付け、9月11日に開札して総合評価(実施方針重視型)で落札者を決める。入札書の提出期間は、電子と紙が9月7~11日、郵送が同7~10日。
 県によると、吉田川流域には排水能力が毎秒4.3立方mの幡谷排水機場、10立方mの品井沼排水機場、5.3立方mの不来内排水機場、10.2立方mの前川排水機場、1.24立方mの後谷地排水機場、1.9立方mの羽生排水機場、1.7立方mの中村排水機場、1.2立方mの三ケ内排水機場、3.2立方mの桧和田排水機場、4.7立方mの西川排水機場、1.46立方mの大平排水機場や、数十カ所の揚水機場などが設けられている。土地改良区は鶴田川沿岸土地改良区や大和町土地改良区などが位置している。
 主な排水機のうち、東日本台風で湛水被害を受けて災害復旧を進めているのは、不来内、後谷地、中村、羽生、三ケ内、桧和田、大平など。
 ただし、これらはあくまで県営施設であり、国が今回の調査でどこまでを湛水対策の検討範囲に含めてくるかは明らかになっていない。

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