浸水対策案を了承 一宮川流域の上流・支流 減災対策会議

加藤座長(中央)は6首長に浸水対策案を提出した

加藤座長(中央)は6首長に浸水対策案を提出した

[2020/12/22 千葉版]
 県と流域市町村で構成する一宮川流域減災対策会議の第3回会合が21日、茂原市内で開かれた。2019年10月豪雨により、甚大な浸水被害が生じた上流域・支川における浸水対策案について協議し、了承された。堤防整備や河道掘削などに取り組んでいく方向性が示されている。

 この会議では▽河川事業の進捗状況と今後の進め方▽一宮川上流域・支川における浸水対策▽流域治水の推進体制と取組状況──などを議題とした。

 学識経験者や国、県、市町で構成する「一宮川上流域・支川における浸水対策検討会」(座長・加藤孝明・東京大学生産技術研究所教授)を設置し、浸水対策案として、浸水対策ビジョンや河川整備案、流域対策の具体化に向けた今後の検討体制案をとりまとめた。

 河川整備案の概要をみると、年超過確率10分の1程度の降雨では河川氾濫を解消させるとともに、19年10月豪雨と同規模の降雨では、家屋や役場、要配慮者利用施設の床上浸水被害を解消させるとした。

 一宮川上流は、洪水のピークを低減しつつ、中下流域へ洪水流下を遅らせるよう、河道改修と貯留施設の整備などを組み合わせる。三途川については、河道を改修し、洪水処理能力を向上させる。

 阿久川と豊田川では、一宮川本川のバックウォーターに対して、必要な堤防のかさ上げを行うとともに、中流の一部で局部改良を実施する。

 上流・支川の改修に伴う洪水流の増加に対応するため、中流において、河道断面を拡大するとともに、堤防高が不足している区間の堤防の高さを上げるとした。

 茂原市の田中豊彦市長は「竹木や土砂の撤去などは進んでいるものの、短期的な浸水対策が示されない」と指摘し、仮設堤防の整備などを求めた。

 今後のスケジュールをみると、21年度に河川整備計画の変更や設計に着手し、22年度以降に用地補償交渉などを進め、早期の着工、29年度の完了を目指す。

 このほか、流域全体で水害を軽減させる「流域治水」を推進するため、都市部局や農林水産部局を構成に追加した流域治水協議会を設置することが決まった。

 県は、一宮川流域で、19年10月豪雨を含め、過去30年間で4度の浸水被害が発生した事を踏まえ、流域市町村の内水対策や土地利用施策と連係した「一宮川流域浸水対策特別緊急事業」を進めている。

 同規模の降雨に対して、今回被害を受けた家屋や主要施設の浸水被害ゼロを目指すため、県と流域関係者である茂原市、一宮町、睦沢町、長生村、長柄町、長南町で構成する「一宮川流域減災対策会議」を設置。地域が一体となって浸水対策に取り組んでいる。

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