海岸事業の着手了承 九十九里 浸食対策や堤防整備(県土整備評価審)

[2021/1/21 千葉版]

ウェブ方式で進められた審議会

ウェブ方式で進められた審議会

 県土整備公共事業評価審議会(会長・轟朝幸日本大学理工学部教授)が20日、県庁で開かれた。九十九里浜の侵食対策と北九十九里~一宮海岸の高潮対策事業の事前評価を審議し、事業に着手することが了承された。全体事業費は順に330億円、107億円を概算。いずれの事業も2021年度にスタートする予定だ。

 審議会では、「九十九里浜侵食対策」と「北九十九里~一宮海岸の高潮対策事業」の事前評価、「一級河川利根川水系の印旛沼・印旛放水路・長門川」と「二級河川一宮川水系の大規模特定河川事業・事業間連携河川事業・河川激甚災害対策特別緊急事業」の再評価を実施した。

 事前評価の対象事業をみると、九十九里浜侵食対策は、事業延長が屏風ケ浦から太東崎まで延長約60km。事業期間は21年度から49年度までと設定し、幅40mの砂浜を確保することを目標とする。

 養浜は、北九十九里で年2万立方m、南九十九里で年7万立方mをそれぞれ計画。南九十九里で離岸堤7基、ヘッドランド9基を整備していく。事業費は330億円を概算している。

 九十九里浜では、離岸堤やヘッドランドの整備を進めてきたが、その対策効果により、沿岸下手側の海岸で沿岸漂砂が減少し、浸食が拡大。漁港周辺などで堆積している沿岸漂砂は、安定的な養浜材として活用できる。

 このような状況を踏まえ、九十九里沿岸の砂の移動を全域で考えることとし、浸食対策を検討するため、「九十九里浜浸食対策検討会議」を4回開き、20年7月に「九十九里浜浸食対策計画」をとりまとめた。この計画に基づき、養浜や施設整備を進めていく。

 北九十九里~一宮海岸の高潮対策事業は、事業延長が約12km、事業期間が21年度からの10年間。全体事業費として約107億円を見込んでいる。

 復興事業では頻度の高い津波(L1)に対し、防護高さの確保を優先し、海岸堤防を土堤構造として整備。浸水被害の軽減や住民避難の手助けのため、設計津波を超える津波に対する海岸堤防の強化が必要となっている。高潮対策事業ではコンクリートで被覆し、「粘り強い構造」とする計画だ。

浸水対策など2事業継続へ

 審議会では2件の再評価を実施し、事業を継続することが了承された。「一級河川利根川水系の印旛沼・印旛放水路・長門川」では、長門川の改修を新たに追加し、21年度から本格的に事業を進めるため、事業費を44億円増額し、411億円とする。

 長門川の事業区間は、ふじみ橋から酒直水門までの約4.3km。築堤や護岸、水門などを整備する計画だ。事業全体の進ちょく率は事業費ベースで30.5%、用地費ベースで48.2%となっている。

 「二級河川一宮川水系の大規模特定河川事業・事業間連携河川事業・河川激甚災害対策特別緊急事業」では、これまでの浸水被害などを踏まえ、河川整備を進めていく。全体事業費として953億円を想定している。

 19年10月の大雨と同規模の降雨へ対応するため、一宮川中流域では河道断面の拡大に152億円、一宮上流域の阿久川や豊田川、三途川、水上川では河道の改修や調節池の整備に130億円を投じる計画だ。

 また、関係市町村が行う内水対策や土地利用施策と連携した「一宮川流域浸水対策特別緊急事業」を実施するため、事業期間を29年度末まで延伸する。

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