ICT証明 5種に拡大 21年度/総合評価の実施方針(東北整備局)

[2021/2/26 宮城版]
 東北地方整備局は、2021年度の総合評価落札方式に関する実施方針を定めた。総合評価ガイドラインを改定し、工事ではICT活用工事証明書の発行対象をこれまでの1工種から5工種に拡大する。さらに、原則として全ての技術提案評価型(S型)で、従来の品質確保に関する技術提案項目に加え、生産性向上につながる技術提案1項目を指定項目として求める試行を行う。

 21年度の実施方針は、24日に総合評価委員会(委員長・田中仁東北大学大学院教授)を開催し、案として有識者らに示して了承を得た。

 ICT活用工事証明書は、これまでICT土工の1工種に活用証明書を発行しているが、新たにICT舗装工、ICT舗装修繕工、ICT河川浚渫工、ICT地盤改良工にまで発行対象を広げる。

 証明書の発行要件は[1]測量[2]設計[3]施工[4]出来形管理[5]納品──の全ての段階でICTを活用すること。証明書に対しては、入札時に総合評価において技術者の能力等の項目で加点評価する。有効期間は2年間。証明書は工種ごとに発行するが、加点評価は工種に関わらず適用される。

 同局はこれまでに600件以上のICT土工活用証明書を発行している。本年度のICT活用工事の実施件数は、昨年12月末までで土工101件、舗装工12件、舗装修繕工1件、河川浚渫工と地盤改良工0件。ICT土工以外でICT活用が進んでいないため、証明書を発行し評価することで活用を促す。

 技術提案評価型(S型)については、これまでだと品質確保に関する提案を3~5提案求めている。改定後は、品質確保に関する提案を2~4提案求めるとともに、ICT活用等による生産性向上に資する技術提案を1提案求める。

 生産性向上に資する技術提案として想定するのは、施工や施工管理において効率化・省力化につながる取り組みで、例えばICTやAI、5Gを活用した機械施工の自動化・無人化や、3次元計測技術を活用した施工管理、BIM/CIMモデルを活用した施工手順・工程管理の効率化など。

 ただし、国土交通省が定める3次元データ・ICT活用の施工管理要領に示されている技術の提案や、発注者があらかじめ指定した工法や技術に関する提案(BIM/CIMを含む)、映像のみによる遠隔臨場の実施提案などは対象外。

 生産性向上に資する技術提案の評価ウエイトは、満点の2割程度を標準とする。例えば技術提案評価点(WTO)の満点が60点の場合で12点程度、WTO以外の満点30点の場合で6点程度とする。

 総合評価委員会の委員からは、2割程度の配点をもっと多くしてもよいのではないかという意見が出された。同局は初めての取り組みのため、ウエイトを大きくし過ぎるとそこに多額の費用をかけてしまう懸念もあり、2割程度としたことを説明し了解を得た。

 なお、本年度に同局が発注した技術提案評価型(S型)の件数は、土木分野で13件となっている。

業務は地方自治体の実績評価見直し

 同局は21年度の建設コンサルタント業務等に関する総合評価の実施方針も定めた。業務の改定内容は、地方自治体等の受注実績評価の見直しと、プロポーザルや総合評価における業務成績対象工種の設定見直し。

 地方自治体等での業務実績は、同局の総合評価やプロポにおいて、国交省などの直轄業務実績がない場合でも、業務成績を72点として評価し、加点している。これを見直し、土木・地質で74点、測量で73点として評価し、加点する。評価ウエイトは、現行だと40%だが、1ランクアップで50%の配点とする。

 業務成績対象工種の設定は、技術評価で企業や技術者の成績を評価する際に、対象業務を同種・類似業務として複数の分野コードとキーワードを組み合わせて設定しているが、成績評価対象を同じ業種区分に見直す。具体的には調査設計業務、測量業務、地質調査業務の3種類に見直す。

 従来のやり方だと同種・類似業務を設定するために、道路の予備設計やら実施設計やら平面交差点設計やらと、複数の条件を重ねてテクリスを検索する必要があり、検索に多くの時間を要していた。これを設計なら設計と大きいくくりの検索で評価できるようにする。成績評価の見直しにより、受発注者ともに作業が簡素化され、働き方改革につながることが期待できる。

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