鬼怒川流域治水プロジェクト 上流で森林整備、中流は浸食対策 宇都宮 田川の河道掘削や調節池

[2021/04/13 栃木版]
 鬼怒川・小貝川上流流域治水協議会や同下流流域治水協議会が災害防止に向けて作成した、鬼怒川流域治水プロジェクトがこのほど公表された。国・県・市町一体となって流域治水を行うとし、短期では関東・東北豪雨規模の洪水に対する災害防止へ、鬼怒川緊急対策プロジェクト(堤防整備や河道掘削など)を実施。中期・中長期では、堤防の洗堀を防止するための浸食対策、内水被害対策(雨水貯留施設の新設など)等の流域対策などを実施するとしている。堤防整備や河道掘削などを行う河川対策の全体事業費は527億円、砂防対策の全体事業費は668億円、雨水貯留施設の整備などの下水道対策の全体事業費は119億円と試算している。

 本県や流域の県内市町が参加する鬼怒川・小貝川上流流域治水協議会と、茨城県や流域の同県内市町が参加する同下流流域治水協議会については、近年頻発している激甚な水害や気候変動による今後の降雨量の増大と水害の激甚化・頻発化に備え、集水域から氾濫域にわたる流域全体のあらゆる関係者が協働して、流域全体で水害を軽減させる治水対策(流域治水)を計画的に推進するために設立。協議会では、河川整備計画に基づく河川整備やダム整備などの取組み、被害の防止・軽減への対策を検討。このほど、河川や流域に関する対策、避難・水防等に関する対策を含む、流域治水プロジェクトを、河川ごとに策定した。

 下野市~上三川町~真岡市~宇都宮市~高根沢町~さくら市の鬼怒川中流部では4カ所で、下館河川事務所が高水部敷造成や護岸整備等の浸食対策を実施する。

 田川と武名瀬川では、県が河川改修事業を実施。田川は宇都宮市石那田地区において、河道掘削や護岸整備を実施。宇都宮市街地において河道掘削のほか、上流と下流で調節池を整備する。武名瀬川は上三川町において、河道掘削や護岸整備を実施するとしている。

 鬼怒川上流部では、日光砂防事務所が砂防堰堤等を整備。高根沢町では、町が中央部の水田地帯で、水田貯留の取組みを計画。担い手への農地の集積・集約化、スマート農業の推進へ、農地の一部をモデル地区として検討。農地の大区画化と合わせ、田んぼダムの活用も検討する。

 国立研究開発法人森林研究・整備機構森林整備センターは、鬼怒川流域の上流部の水源林造成事業地(約99カ所、森林面積約3000平方m)で、徐間伐等の森林整備を計画的に実施する。

 このほか県は、鬼怒川中流部~上流部の各所で、河道掘削、調節池整備、急傾斜地崩壊防止施設整備、砂防堰堤整備などを実施。宇都宮市は県とともに、河道掘削を実施するとしている。

 雨水貯留施設、透水性舗装、浸透桝の整備も、宇都宮市・小山市・真岡市・さくら市・下野市・上三川町・塩谷町・高根沢町で進めるという。

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