前払導入も12市町は限度額 塩谷町が4月1日から改正 東日本保証

[2021/05/08 栃木版]
 公共工事における建設業の資金繰りを円滑にする前払保証制度で、東日本建設業保証栃木支店によると、同社所管の23都県の自治体の82.3%が「支出割合一律40%.支出限度額なし」を導入しているのに対し、本県は25市町のうち13市町(52%)に止まっていることが分かった。請負金額に応じ前払率を設定しているのが2町、支出限度額を設定しているのが12市町。業務委託において大田原と那須塩原が未導入となっている一方、塩谷は4月1日から「支出割合一律40%.支出限度額なし」に改正した。 =2面に前払実施基準等一覧

 前払保証制度は、国や地方公共団体などが発注した工事の円滑で適正な施工を支援するため、当初に工事代金の40%を上限に受注業者に前払金を支払う制度。本県では全市町が導入しているものの、12市町が支出限度額を設定しているほか、高根沢と那珂川が請負額に応じて前払率を設定している。高根沢町の40%は1億円以下とし、3億円以下が20%、3億円超を10%に設定。那珂川町は3億円以下が40%で、10億円以下を20%、10億円超は10%とした。

 同栃木支店によると、前払率を設定するのは比較的高額工事の発注の少ない市区町村が多いと分析しており、4月から撤廃した塩谷も3月までは限度額を設定していた。

 建設工事に限度額を設定しているのは、栃木、佐野、鹿沼、大田原、那須塩原、那須烏山、茂木、市貝、壬生、野木、高根沢、那珂川の12市町。また、地方自治法で前払金は請負額50万円以上から支出可能とされているものの、該当するのは宇都宮と鹿沼の2市に止まっている。競争入札を適用する130万円以上が佐野、矢板、那須塩原で、130万円超の足利を合わせ4市。県に準じた300万円以上が8市町、500万円以上は11市町となった。

 総務省と国交省は2016年10月「公共工事の円滑な施工確保について」とする文書をまとめ、各都道府県知事あてに通達した。市区町村や契約担当者への周知を図ったもので、この中には建設業者の資金調達円滑化のための取組みが示され▽未導入自治体に対し前払金・中間前払金の早急な導入を図ること▽前払制度の更なる活用と前払限度額の見直し▽中間前払金制度の手続きの簡素化と迅速化▽工事請負代金の支払い手続きの迅速化に努めること-などとしている。

 加えて国交省は20年3月、昨今の新型コロナウイルス感染拡大への対応として、公共工事の一時中止等に伴い資金繰りに支障が生じることがないよう▽中間前払金の迅速・円滑な実施▽出来高部分払いの請求があった場合の適切な対応-について通知している。

 中間前払保証制度は、当初の前払金40%に加え、工期半ばで20%を追加して支払う前払金い制度。工事を円滑に行う上で、施工業者の資金繰りに有効とされ、国交省は17年3月、制度導入と適切な運用等を明記した「公共工事の前払金い及びその特例の取扱いについて」とする文書を、各都道府県と政令指定都市の主管部局長あてに通知し、周知を図っている。

 本県における前払金制度の改正は、15年4月県が「支出割合一律40%・支出限度額なし」を導入、同年から市町が追随した経緯がある。県の導入から約6年が経過し、東日本23都県で本県の普及状況は、東京、埼玉に続き3番目に低く、近県では茨城、千葉などが100%で、東北6県などを含め、半数超の12県が普及率100%となっている。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.