一般競争3000万円以上に拡大 事務所簡易型を試行 県農政部 入札契約制度を見直し

[2021/06/22 栃木版]

 県農政部は入札契約制度を見直し、一般競争入札の執行基準を設計金額3000万円以上に拡大するとともに、併用している総合評価落札方式は3億円以上を標準型、また3000万円以上3億円未満については簡易型を3タイプに分け、事務所発注のIIとIII型には施工計画の提出を義務付けないよう変更した。県土整備部に倣い、4月から試行を始めている。県農村振興課によると、簡易型のうち3000万円以上5000万円未満のIII型について、事務所の裁量に応じ本年度は1~2件の試行を呼び掛けていくとしている。

 現行の一般競争入札の執行基準は原則、5000万円以上1億円未満の工事については農政部の各事務所が所管しているが、この基準を3000万円まで拡大し、総合評価方式を併用していく。なお、災害復旧や補正予算計上工事で、早期執行の必要性の高い1億円未満の工事については従来通り、指名競争での執行を可能としている。

 総合評価方式は、一般競争入札における価格と価格以外の要素を総合的に評価し、最も評価の高い業者が落札する制度。県土整備部を中心に2005年度から試行を始め、10工種にまで拡大するなど比率を高めてきたものの、19年度の一般競争入札の件数は約4.6%に止まっている。

 総合評価方式の評価項目は、企業の施工能力と企業の信頼性に集約している。このうち、施工能力では企業の技術力として▽工事成績評定▽優良工事の実績▽企業の施工実績▽ISO▽安全衛生活動▽工事無事故の実績▽登録基幹技能者の配置-の7項目を、配置予定技能者の能力では▽施工実績▽工事成績評定▽継続教育-の3項目をあわせた10項目で評価する。

 信頼性は、地域精通度として地域内拠点の有無を評価。地域貢献は▽地域の守り手実績▽災害時の継続力(BCP)▽地域活動の実績([1]ボランティア活動実績[2]インターンシップ受入実績[3]水防・道路・河川などの協力団体指定実績[4]県の環境施策取り組み実績[5]担い手確保の取り組みに関する実績[6]就労支援等事業雇用実績)-とした。先進的取り組みは▽週休2日制工事実績▽ICT活用工事実績▽若手・女性技術者実績▽建設キャリアアップシステム導入-と合わせ、施工計画とともに評価する。

 評価に当たっては、内容や配点を見直した。具体的には陳腐な項目は削除や配点減とした一方で、災害対応など取り組み実績や先進的取り組みに関する評価項目を追加し、品質確保のための効果的な評価項目を構築したとしている。

 総合評価方式には簡易型を新設し、設計金額に応じて上位金額から1億円以上3億円未満(建築は4億円未満)を簡易型I、5000万円以上1億円未満(建築は2億円未満)を同II、3000万円以上5000万円未満を同IIIに区分した。現行の標準型では、工事ごとにテーマを設定し、2項目で5つの提案を行う施工計画書の提出を義務付けている。

 3億円以上の標準型(建築は4億円以上)は現行を踏しゅう。新設の簡易型ではIIとIIIで施工計画書の提出を不要とし、Iは1項目で4提案と簡素化した。施工業者をはじめ、施工計画を評価する委員会の学識経験者への事前聴取方式を前提とし、相互の負担軽減と契約までの手続きの期間短縮が狙い。

 審査方法についても、同日入札の分離分割発注工事は、各工事ごとに評価資料を作成していた従来方式から、共通する資料を一括して作成し評価する方式に変更でき、資料作成と確認作業の負担軽減につながる。

 同課は「総合評価方式の導入後16年が経過し、一部の評価項目は取り組みが浸透して、業者間で差が生じにくい状況になった。近年の働き方改革や生産性向上対策など、新規施策の取り組み状況を適切に反映させる必要がある」としている。

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