トンネルD等級478㍍ 板荷玉田線辺釣工区 23年度着工目指す 鹿沼土木

[2021/08/05 栃木版]
 県は、鹿沼市の一般県道板荷玉田線辺釣工区に整備するトンネルの詳細設計をまとめた。延長が478㍍のD等級で、北側の板荷方面から片押しのNATM工法で掘削する。県鹿沼土木事務所によると、公簿公図調査を踏まえ、年内に用地調査を発注し、2023年度の本体着工を見据えて22年度にも用地取得を完了させトンネル設備設計を発注する見通しを示した。トンネル詳細設計は、建設技術研究所(東京都中央区)が担当した。
 現道は東側に張り出した崖地を回避していることから、バイパスルートは丘陵部を掘削してトンネルを整備する。バイパスは明かり部を含め延長818㍍、幅員10㍍で、片側に歩道2.5㍍を確保する。総事業費は27億円を見込む。
 両坑口と沢部はトンネルの構造の安全のため用地を取得するが、トンネル上部の大半は地上権を設定し使用貸借を実施する。北側坑口周辺には不安定土砂が堆積しているため、トンネル掘削に先行して落石対策のネットを施工。加えて、ネットからの抜け落ち対策で落石防護柵を設置する。
 北側の明かり部は168㍍で、排水計画は既設の道路側溝に接続させ、吉良堀用水組合の水路に合流し、一級河川黒川に排水する。
 南側の明かり部は172㍍で、東側の排水は既設側溝に接続。西側の排水は現況の側溝では排水しきれないため、東武日光線を下越しし、黒川に排水する方向で関係者協議を進めている。鉄道下の下越しについては、土被りが確保できる場合は推進工法、土被りが確保できない場合は開削工法を採用する見通し。明かり部の道路詳細設計は、シーアイエス(宇都宮市)が担当している。
 同地は東側の斜面が土砂災害警戒区域(土石流・急傾斜)に指定され、西側は東武鉄道日光線と並行し一級河川黒川が近接するため、現道拡幅が困難となっている。切り立った斜面では、過去に落石が確認され、斜面上部には大きな転石が多く存在している。
 辺釣地区の北では、同県道にアクセスし日光市方面とを結ぶ一般県道小来川文挾石那田線赤行橋の完成に加え、17年11月には同板荷引田線松坂トンネルが開通。鹿沼北西部から日光市にかけての広域的な道路ネットワークが整備され、交通量の増加が見込まれている。現在の自動車交通量は1435台だが、30年度の1日当たりの交通量は3800台を試算した。
 幅員は一般部、トンネルとも同じ構成で、西側に2.5㍍の歩道を設置した全幅10㍍。幅員構成は、車道3㍍×2車線の車道両側は自転車の通行を考慮し、0.75㍍の路肩を配置する。
 同地の板荷玉田線は、視認性を確保するためセンターラインを標示しているものの、狭あい部の現況幅員が5.5㍍程度と大型車両の交互通行が困難な状況。鹿沼市中心部方面から南側は、垂直に切り立った岩壁がせり出し道路が右に回り込むようにカーブしており、見通しが特に悪く幅員狭小の立て看板を設置して、通行車両に注意を喚起している。27年関東・東北豪雨では土砂流出が発生して地元住民が一時孤立状態となり、令和元年東日本台風では災害の発生が危険視されて一時通行止措置をとった。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.