水源涵養機能を増進 水源地保全 条例検討会議 所有権移転は事前届出に

[2021/10/21 栃木版]

 県は16日に、第2回(仮称)水源地域保全条例検討有識者会議(座長・大久保達弘宇都宮大学教授)をウェブ会議で開催した。今回の会議では、条例制定に向けた提言案について基本的理念や効果的な方策などを協議。森林の有する水源涵養機能の維持・増進を図るとし、所有権移転の事前届出制の方策などを盛り込んでいる。水源保全条例は、12月から2022年1月にかけてパブリックコメントを実施し、2月県議会へ条例制定の議案を提出して承認された後、22年度から施行する。

 提言案によると、基本的理念について、我が国で荒廃森林の増加や水資源枯渇の懸念が指摘されていることから、県の水源地域を適切に管理・保全して100年先の未来へ引き継いでいくため、水源地域の森林の重要性を県民と共有し、健全な姿で次世代に引き継いでいくために必要な取り組みなどを盛り込んだ条例を制定する。水源保全の基本的な考え方は、社会全体で森林を支えるようにし、森林の有する水源涵養機能の維持・増進を図るべきとしている。

 県の責務は、森林の現状の把握に努め、森林の水源涵養機能の維持および増進に係る施策を総合的に推進。市町村・関係事業者・森林所有者に加え、県民と協働して進めていく。県は、市町村の水源地域保全の施策と連携協力し、国に対して必要な措置を講ずるよう求め、水源地域の森林の適正な利用および保全で、所有者などに助言、指導、情報の提供などを行う。県民や森林所有者の責務については、県や市町村の施策に協力に努めるべきとした。

 保全対象は、水源の涵養機能の維持などを図るために適正に利用、または保全することが必要と認められる森林のある地域としている。

 具体的な方策は、全国の道府県で導入している所有権移転の事前届出制を採用すべきとした。従来から、森林法に基づく所有権移転の事故届出で不適正な管理などが行われるおそれのある森林の注視を行ってきたが、事前届出制を導入することで売買契約の成立前に買請人に土地に関する助言などを行い、従来は土地所有者の事後届出後に行ってきた他法令に基づく指導をより早期に実施することを可能とし、適切な指導につなげていく。

 事前届出制は、届出の対象となる権利、届出の期限、届出の対象となる事項、届出違反に対する勧告・公表などの事前届出制の内容は近隣県に合わせた取り扱いとする。届出のあった土地の利用に関しては、当該土地のある市町村に意見に求め、意見を勘案して届出者に助言すべきとしている。違反に対する罰則は、過料の規定を設けるべきとした。

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