会瀬広場に8.2億円 当初予算案 多賀駅で自由通路の設計(日立市)

[2022/2/25 茨城版]
 日立市(小川春樹市長)は22日、22年度の当初予算案を発表した。一般会計の総額は728億9000万円となり、前年度比0.3%の増額となった。主な事業では、会瀬スポーツ広場の着工へ8億2614万円を予算化するほか、常陸多賀駅周辺地区整備事業では駅舎・自由通路の基本設計などで3億5103万円、市民運動公園には野球場改修の実施設計や陸上競技場の第3種公認更新工事へ2億9866万円を計上した。新規事業では、北部消防署の移転改築へ用地測量や用地取得、日立風流物展示施設整備へ基本計画の策定、現萬春園敷地内に立地するデイサービスセンター棟の整備活用に向けた検討などに着手する計画だ。

 予算編成に当たっては、22年度を初年度とする新総合計画の着実な推進と、アフターコロナを見据えた新型コロナ対策などを重点に行った。一般会計に占める普通建設事業費は90億9779万円で、22年度の完了を予定する清掃センターの基幹的設備改良工事費や、常陸多賀駅周辺地区整備事業、会瀬スポーツ広場整備事業などの事業費を予算化する一方、サンピア日立改修や学校施設改築工事などの大型工事の完了により、全体では前年度比2.7%の減額となった。

 特別会計と企業会計を含めた総額は1229億3911万円で、2年目を迎えた萬春園建設事業が本格化する介護サービス事業特別会計や企業会計の伸びなどにより、全体では前年度当初比1.3%の増額となる。

 主な事業のうち、会瀬スポーツ広場は、会瀬町のけやき通り沿いにある日立製作所所有の会瀬グラウンド(約1万5000平方m)を市が無償で借り受け、ラクビー競技が可能なグラウンドとして整備を行うもの。昨年秋からは第一設計(ひたちなか市勝倉)により実施設計に着手し、22年度の着工に準備を進めている。

 スポーツ広場内には全面に人工芝を敷設し、付帯設備として照明やクラブハウスなどを整備する。ラグビー場は1面が設置できる規模で、公式競技はできないものの練習試合などには活用できるとしている。照明設備は既存のものが老朽化しているため再整備を行うほか、駐車場も不足していることから、グラウンドなどの一部を駐車場に充てる考え。順調に進めば23年度の供用開始を目指している。

 常陸多賀駅周辺地区整備事業では、東西自由通路の基本設計や、東口駅前広場と南北アクセス道路などの詳細設計に着手する。この事業では、28年度の完了を目指し、▽駅東口の広場整備▽東西自由通路・駅舎の整備▽南北アクセス道路の整備──を掲げる。本年度は駅周辺の測量などを行い、測量に合わせて東西自由通路や橋上駅舎、ひたちBRTルートなどの配置計画などもJRと協議を進めた。12月からは、駅周辺の意匠を統括するデザイン監修者の選定でプロポーザルに着手し、4月上旬にも決定する運びだ。

 22年度には施設整備に向けた基本協定をJRと締結し、基本設計にも着手する。駅東口広場と東西自由通路・駅舎、南北アクセス道路では23年度中をめどに調査や設計、都市計画の手続きを終え、24年度からの着工し、28年度中の完成を予定する。

 市民運動公園の野球場改修計画では、INA新建築研究所(東京都文京区)により基本設計に着手した。施設の老朽化や狭あい化などから改修や改築工事を行うもので、基本設計を年度内にまとめたあと、22年度に実施設計を策定し、23年度の着工を目指す。

 施設整備に当たっては、19年度に整備したスコアボードを活用しながら、既存野球場を改修する。メインスタンドと内野スタンド(鉄骨部)は老朽化が進んでいることに加え、旧耐震基準であるものの改修や増築による整備が困難であることなどから改築工事を行い、一体的な観覧席と諸室を整備する。これにより、観覧席を約1万5000人以上に拡大する。23年度にはメインスタンドの改築やフィールド拡張などの第1期工事に着手し、25年度にも一部供用を開始する予定だ。

 北部消防署の移転改築には、用地の測量業務委託料のほか、用地取得費として限度額2億0230万円の債務負担行為を設定した。老朽化した現施設(1976年建築、2階建て延べ480平方m)を現在の日高3丁目から2丁目に移転して改築する。計画では24-25年度で工事を進め、26年度の供用開始を目指す。

 日立風流物展示施設の整備では、基本計画の策定に着手する。日立風流物は、操り人形を乗せた人力で移動するカラクリ仕掛けの山車で、現在では計4基が現存している。大きさは高さ約15m(横幅約5-7m)で重さが約5tあり、さくらまつりなどで公開される時を除き、神峰神社の敷地内にある倉庫に解体された状態で収容されている。この倉庫は昭和30年代の建築で老朽化が進み、郷土芸能保存会などからも施設整備が求められていたことから、20年度には市文化財保存活用地域計画を策定した。現在のところ、展示施設と収蔵施設を別に整備するもようで、基本計画ではスケジュールや建設地、整備形態などの方向付けを行う。

 昨年着工した萬春園整備事業に関連し、既存施設の敷地内に立地するデイサービスセンター棟では、施設の新たな活用に向けて基本計画の策定に着手する。この施設は、1994年に建てられた比較的新しい施設であり、計画ではリハビリ施設や認知症支援施設などへの用途変更が見込まれている。用途が決まれば内部の改修工事などを行っていく考えだ。

 このほか、動物園活性化事業には3億0372万円を予算化し、7月の供用開始に向けて猛獣舎の建設工事を進めるほか、旧猛獣舎跡地には新たにビーバー舎の建設工事に着手するため、22-23年度で総額1億5122万円の継続費を設定する。このほか、23年度からの第3次再整備事業計画の策定なども行う。

 市道整備では、市道中所沢線(市道640号線)改築事業に2億7087万円を確保し、小木津町で改良工事や柳町橋の架け替え工事などを実施していく。市道9号線では東大沼町の改良工事などに9729万円、市道3509号線では会瀬町の改良工事などに9096万円、国道6号大和田拡幅取付道路新設事業では石名坂町の道路新設工事に1億5080万円などを確保。小木津山自然公園拡張整備事業では、進入路整備工事などに1億0540万円を計上している。

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