ひたちなかに新工場  先端素材拠点へ2000億円投資(JX金属)

[2022/3/18 茨城版]
 JX金属(東京都港区、村山誠一社長)は16日、ひたちなか市に新工場を建設するため、県から用地約24万平方mを取得したことを明らかにした。総投資額は約2000億円とし、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔・高機能銅合金条、結晶材料といった先端素材事業を担う新たな中核生産拠点を整備する。なお、先端素材関連で今回の工場建設は、同社にとって過去最大の投資規模となる。15日には県と用地売買契約を締結するとともに、引き渡しも行った。今後は詳細を精査したうえで、22年度下期の着工を予定する。稼働時期は25年度以降なる見通しだ。

 JX金属グループは、銅やレアメタルを中心とした非鉄金属に特化し、上流の資源開発から中流の金属事業、下流の先端販売素材事業まで展開し、グループ内に強固なサプライチェーンを構築する。事業内容は、▽各種電子デバイス用材料の製造・販売▽非鉄金属の粉末材料の製造・販売▽非鉄金属の精練・販売▽リサイクルおよび産業廃棄物処理▽非鉄金属資源の探鉱・採掘──と多岐に渡る。特に、同社はスマートフォンなどの電子機器の性能向上に欠かせない先端素材について、半導体用スパッタリングターゲットで世界シェア約60%、圧延銅箔で同約80%を誇る。

 近年、世界規模でデータ通信の高度化が進んでおり、電子デバイス向け先端素材のさらなる需要拡大が見込まれる状況にある。同社は近い将来、先端素材の生産能力がひっ迫する可能性があることを受けて、生産能力の拡充が必要と判断。検討の結果、新工場を建設することとになった。

 新工場の建設地はひたちなか市新光町常陸那珂工業団地に隣接する用地約24万平方m。新工場を同地に決定した理由は、同社が県内に保有する複数の事業拠点や東京本社とのアクセスの良さに加え、用地の広さと物流面、利用環境面などを挙げる。

 製造する製品は、既存の先端素材である半導体用スパッタリングターゲットと圧延銅箔・高機能銅合金条に加え、新規の先端素材である結晶材料(インジウムリン)を予定し、先端素材事業を担うマザー工場とする。総投資額は用地取得費などを含めて約2000億円と試算した。従業員は最低でも500人以上の雇用を確保する。その際には地元周辺での新規採用を行い、地域の経済・雇用創出に貢献していく。

 また、同地は日立事業所や磯原工場から距離が近く、本社へのアクセスも良好であることから、各拠点との一体運営が可能になる。そこで、同社は各拠点間の連携を更に強化するとともに、本県に本社機能の一部を移転することも検討していくという。

 なお、同社は昨年12月、日立市内に2工場を新設することを発表している。2工場は半導体用スパッタリングターゲットと圧延銅箔をそれぞれ生産する予定だが、これは既存の生産能力増強・補強という位置付けになる。これに対し、ひたちなか新工場はフルラインアップが揃うマザー工場を想定しているという。

 県庁で県と共同開催した記者会見で村山社長は「今回の新工場建設は、当社にとって先端素材分野における過去最大規模の投資となる。半導体用スパッタリングターゲットをはじめとする先端素材は、これからのデータ通信の高度化に不可欠。その反面、安定供給が必要だと受け止めている。ひたちなか新工場の建設により、市場の要求に応え、グローバル社会の持続可能な発展に貢献していきたい」と意気込みを語った。

 大井川和彦知事は「今回の新工場建設は、知事として大変感慨深い。最先端のマザー工場をひたちなか市に建設することは、本県の今後の発展、特に県北振興として大きな意義を持つと感じている。県としては、本社機能移転に関する補助やカーボンニュートラル関連の制度などを活用し、自治体として最大限のバックアップを行っていきたい」などとコメントしている。

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