建設費は230億円 新最終処分場の基本計画策定(県資源循環推進課)

[2022/5/13 茨城版]
 県資源循環推進課はこのほど、新産業廃棄物最終処分場の基本計画を策定した。計画の概要をみると、新施設の概算建設コストは、最終処分場や浸出水処理施設、雨水処理施設などを含めて合計で約230億円と試算。埋立地の規模は約9.8ha、容量は約244万立方mとし、オープン型処理場で整備する。施設の受入計画量は年間15.2万tに設定し、埋立期間は20年から23年間程度を予定する。本年度は基本計画の内容を踏まえ、年度内に基本設計を策定する見通しだ。

 この事業は県関与産業廃棄物最終処分場エコフロンティアかさまの継続施設として、新たな産業廃棄物最終処分場を日立市諏訪町地内に整備するもの。本県の産業廃棄物最終処分場は04年度以降、新規の設置許可がない状況にある。さらに、エコフロンティアかさまの埋立進捗は、20年度末で約75%まで進み、近い将来にひっ迫することは必至となっている。そこで、県は新たな産業廃棄物最終処分場を整備するために、基本計画に着手した。昨年9月には有識者で構成する基本計画策定委員会(委員長・大迫政浩国立環境研究所資源循環領域長)を設置。これまでに計4回の会合を開催し、最終処分場の整備内容について検討を進め、このほど基本計画が策定となった。なお、同業務はパシフィックコンサルタンツ(東京都千代田)が担当した。

 新最終処分場の概要をみると、埋立地の規模は約9.8ha、容量は約244万立方mとし、オープン型処理場で整備する。施設の受入計画量は年間15.2万t、埋立計画量は年間約10万立方mに設定し、埋立期間は20年から23年間程度を予定。敷地内には埋立地に加えて、浸出水処理施設や防災調整池、管理施設などを配置する。

 受入対象廃棄物はエコフロンティアかさまと同様。なお、放射性物質に汚染された廃棄物は受け入れないとする。

 埋立地の構造は準好気性埋立構造、方式は即日覆土によるセル方式を採用。浸出水発生量抑制のため、埋立地を南北2区画に分け、下流側(北側)から埋立を開始する。

 遮水工では、基準省令に基づく二重の遮水シートに加え、ベントナイト砕石や水密性アスファルトコンクリート、ベントナイト複合遮水ライナーによる多重の遮水構造を取り入れた。さらに、バックアップ機能として、漏水検知システムを設置する。

 浸出水処理施設の処理能力は1日あたり400立方m、調整槽容量は3万0300立方m程度とする。浄化処理後は下水道へ放流することになる。防災調整池の容量は3万1000立方m程度を予定している。

 管理施設としては、▽計量施設▽展開検査場▽管理棟▽地下水モニタリング設備▽場内道路▽洗車設備▽待機所▽門・囲障設備──を配置する。

 併設施設としては、環境学習施設を整備していく。この施設では、資源循環に関する学習や日立市と連携した体験学習や環境学習ができる施設を目指す。具体的な整備内容については、別途、県と日立市で検討していく予定となっている。

 跡地利用については、周辺の自然環境を有効利用しつつ、地域の活性化を促すような利用形態が望まれると明記。具体的な計画は、地元住民の意見を踏まえて今後決定していくことになる。

 概算建設コストは、既存文献などで示される費用関数や他の事例を参考にしながら、採用した各種安全対策については個々に積み上げ積算し、さらに、安全側の数値を採用することになった。その結果、概算建設コストは約230億円に設定した。

 基本計画の策定を受けて、今後は基本設計に着手していく。なお、業務については八千代エンジニヤリング(東京都台東区)が担当する。

 基本設計で検討する項目としては、▽埋立処分工法と埋立計画▽埋立地造成計画・貯留構造物▽遮水工▽地下水集排水設備▽浸出水集排水設備▽ガス抜き設備▽浸出水取水・調整・導水設備▽浸出水処理施設▽雨水集排水設備▽防災設備──などを盛り込む。

 また、管理施設関連として、▽管理棟▽計量施設▽展開検査場▽場内道路▽洗車設備▽待機所および一般車両駐車場▽門・囲障設備▽環境学習施設(外構)▽モニタリング設備▽飛散防止設備▽再生可能エネルギー発電設備──などの設計も行う。

 今後のスケジュールは基本設計を策定後、実施設計に着手する。なお、実施設計と工事については、県環境保全事業団からの発注を予定しているという。

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