24団体で意見交換 より良い業界に向け議論開始(県建産連ほか)

[2022/8/4 茨城版]
 県建設産業団体連合会(石津健光会長)は2日、水戸市の建設技術センターで建設関連団体意見交換会を開催した。意見交換には会員22団体と関係2団体の合計24団体の代表者らが参加し、担い手不足や週休2日制、適正な工期設定などについて議論。なお、建産連関連で、元請企業と専門工事業らが一堂に会して、意見を交わすのは今回が初の試みとなる。今後は、各専門工事業団体らと定期的に意見交換などを行い、より良い建設業の実現に向けて議論を深めていく考えだ。

 この意見交換会は、県内の建設業団体が一堂に会し、建設業の課題や問題点、要望などの情報を共有し、円滑な施工体制の確保を図るとともに、本県の建設産業の発展に寄与することを目的とするもの。

 あいさつに立った石津会長は、地方の建設業では若手人材の確保や働き方改革の対応に加えて、新たにICTやデジタル化への対応などの課題にも直面している現状を指摘。特に働き方改革については、「若手人材を確保するためにも、建設業界をあげて取り組むべき最重要課題」との認識を示した。続けて、「週休2日制の早期実現のためには、建設関連団体で議論を重ねる必要がある。皆さまには忌憚のない意見をお願いしたい」と述べた。

 意見交換では、各団体の代表者らが自らの業界の現状や、元請企業への要望などを発言した。主な内容としては担い手の確保や週休2日制の実現、適正な工期の確保、デジタル化への対応、資材価格の適正化などを盛り込んだ。

 このうち、担い手の確保では、多くの団体で人手不足や技術者の高齢化により、問題が深刻化している現状を訴えた。特に週休2日制の導入については、その実現が若手技術者の確保につながることを認めつつも、現時点で実現されていないことを報告。元請企業に対しては、民間工事を対象とした土曜日の一斉休工の取り組みや、工事現場への月曜朝一搬入の回避、4週8休ではなく週休2日制の実現などを要望した。

 適正な工期については、特に建築工事に関係する団体から意見が出た。これは建設工事を行う際、工程に遅れが出ると、管工事や電気設備、空調、造園などの工事へしわ寄せが発生していることを指摘するもの。工期の確保が難しくなると、担当者の健康や災害防止の観点からも厳しい状況になると説明し、理解を求めた。

 デジタル化への対応では、技術者の高齢化などを理由に取り組みが思うように進んでいないことを説明。設計業界では近い将来、BIMなどの普及により設計環境が変化することが想定されているため、危機感を示した。また、工事監理への活用についても触れ、元請企業とともに勉強しながら利用促進につなげる環境づくりを要望した。

 資材価格の適正化については、近年のセメントや燃料などの高騰を受けて、資材の値上げを余儀なくされている状況を説明。工事の積算価格を的確に反映させるため、各調査機関から市況調査の依頼があった場合には、過去の取引価格ではなく、調査時点で契約する場合の価格を回答するよう求めた。

 これに対して、石津会長は各団体の意見に対して理解を示したうえで、「これから24年には労働時間の上限規制が建設業でも開始され、今以上に厳しくなることが予想される。そうした状況の中、効率良く建設業を進め、少しでも良い方向に進めたいとの思いで意見交換会を開催した。今日の会合をスタートとして、さまざまな課題について話し合いながら、より良い建設業にしたい」と述べ、引き続きの協力を求めた。

 オブザーバーとして参加した県土木部の担当者からは、「皆さまの意見を受け止め、元請企業と専門工事業、資材関連の皆さま、発注者のパートナーシップのもと、課題を解決していきたい」などとコメントした。

 今後は各委員会レベルや全体での意見交換を定期的に開催し、元請企業と専門工事業の意見や課題をまとめていく。ある程度、形になれば、発注機関への要望活動も視野に入れているという。

 以下、意見交換会への参加団体は次の通り。(順不同)
▽県解体工事業協同組合▽県管工事業協同組合連合会▽県空調衛生工事業協会▽県建築士会▽県建築士事務所協会▽県交通安全施設業協同組合▽県コンクリート圧送事業協同組合▽県コンクリート製品協同組合▽県採石業協会▽県砕石事業協同組合▽県消防設備協会▽県造園建設業協会▽県測量・建設コンサルタント協会▽県鉄筋業協同組合▽県鐵構工業協同組合▽県電気工事業工業組合▽県電設業協会▽県塗装工業組合▽県鳶・土木工業会▽県生コンクリート工業組合▽県板金工業組合▽県型枠事業協同組合▽県左官工業連合会▽県建設業協会

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