DX推進を新規に要望 入札制度など宮城県と意見交換(建コン協会東北)

[2022/10/22 宮城版]
 建設コンサルタンツ協会東北支部(建コン、菅原稔郎支部長)は20日、仙台市内で県土木部との意見交換会を開催した。建コンは技術力重視による選定と入札契約制度の改善など従来からテーマとしてきた3項目に加え、新たに「DX推進の環境整備」を話題に取り上げ、情報共有システム(ASP)の積極的活用等を求めた。県は工事でASPを活用しているものの、コンサルで活用していないため、ガイドラインなどを参考にしながら試行導入を検討すると回答した。

 意見交換会には、建コンから菅原支部長ら22人、県土木部から狩野淳一技監兼副部長(技術担当)ら7人が出席。主に▽担い手確保・育成のための環境整備▽技術力重視による選定と入札契約制度の改善▽品質の確保・向上▽DX推進の環境整備──の4項目について非公開で話し合った。

 あいさつで菅原支部長は、建設関連業務の総合評価落札方式で、10月以降に開札する分から同札の場合の落札候補者をくじ引きで決定するように実施要領が改定されたことに関し感謝を述べた。

 さらに、8月に建コンと県との災害協定の改定が実現したことに関し、7月の豪雨災害でも「改定後の内容で業務契約をしていただいた」と述べ、対応に感謝した。

 意見交換については、昨年度まで要望してきた項目が「一つ一つ成果となって表れている」と手応えを口にし、今後は「BIM/CIMなど新技術の積極的な導入により生産性の向上やDXの推進を図ることで、建設産業の魅力をアップし担い手確保につながることを期待する」と述べた。

 狩野技監兼副部長は、7月豪雨災害に対し、建コンが本復旧の設計などに尽力していることを感謝し、「今月3日から災害査定が始まっている。年内に滞りなく完了できるよう引き続き協力をお願いする」と要請。生産性向上への技術革新に向けては、来年度から「土木部でも3次元CADを導入し、中長期的な視点で3次元設計の推進等利活用を図るべく、必要な環境の整備、技術の習得に取り組む」と意気込んだ。

 意見交換では、担い手確保・育成のための環境整備に関し、建コンがさらなる納期の分散と平準化を要望。県は翌債の活用による早期発注や柔軟な繰り越しなどで平準化に努める考えを示した。

 建コンはウィークリースタンスの実施状況に関する調査も要望。県によると本年度は7月時点で92件の業務をウィークリースタンスの適用対象として発注しているものの、全業務への適用に至っていないため、再周知を図るとともに、年度内に受発注者を対象としたアンケートを実施する意向だ。

 技術力重視による選定と入札契約制度の改善では、建コンが実施方針や技術提案の評価点を相対的に増やすことを求めるとともに、実績評価において技術者評価をより重視するよう配点割合の変更を提案した。

 さらに建コンは、最高点で評価している企業の同種業務の成績について、工事と同様に平均点に改善するよう提案。この件について県は改善に向け検討すると答えた。

 若手・女性技術者の活用に関しては、管理補助技術者制度を活用した件数が2021年度に10件で全業務の約3%に留まっているため、県が業界側にさらなる活用を期待した。

 品質の確保・向上のテーマでは、特記仕様書における業務の目的や設計条件、成果の明確化などを徹底し、情報共有していくことを確認した。

 DX推進の環境整備に向けては、建コンがASPに関し、事業・業務の情報等に関する電子化・情報共有化により業務の効率化につながると説明。山形県のASP業務の特記仕様書記載例を参考に示しながら、積極的な活用を求めた。県は他機関の状況を見ながらガイドラインを参考にして試行等を検討すると回答した。

 DX推進の環境整備ではこのほか、建コンが電子契約システムの構築や、テレワーク環境整備の推進と、「各種技術基準の電子化」および「積算基準の電子化」によるウェブ公開を求めた。

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