ICT導入に補助検討 宮城県が建設DX推進へ意欲(日建連東北と意見交換)

[2022/11/10 宮城版]
 日本建設業連合会東北支部(森田康夫支部長)は9日、仙台市内で県土木部との意見交換会を開催した。日建連から建設DXの推進に向けた取り組みについて質問された県は、地域の守り手である地域建設産業に対し、災害対応力を強化するためのBCP策定等の費用と合わせて、ICTの導入に必要な費用などを補助する方向で検討していることを明らかにした。

森田支部長

森田支部長

狩野技監兼副部長

狩野技監兼副部長

 意見交換会には、日建連から森田支部長ら12人、県土木部から狩野淳一技監兼副部長(技術担当)ら7人が出席。あいさつで狩野技監兼副部長は、建設工事におけるICT化やUAVの活用浸透、それらを動かすBIM/CIMの活用拡大など、生産性の向上をけん引する技術革新に関し、国や日建連会員の先進的な取り組みを参考に「われわれ公共事業者としてもしっかり対応力を身に付け、技術力を養っていく」と意欲を示した。

 意見交換では主に、公共工事の円滑な施工の確保、生産性の向上、働き方改革と担い手確保に向けた取り組みなどについて話し合った。

 円滑な施工の確保に関しては、日建連が適切な工期と予定価格の設定を要望した。

 県は工期設定に関し、工期設定支援システムを活用したモデル工事を2020年度から実施し、本年度は25件がモデル工事の対象となっていることを紹介。今後も活用工事の拡大に取り組む意向を示した。

 予定価格に関しては、9月にアスファルト合材、11月に生コンクリートの単価を改定するなど、適正な単価設定に努めていることを報告。刊行物調査については毎月資材価格を改定することも検討していると答えた。

 森田支部長は、建設資材物価が昨年1月と比べ9月時点で約23%上昇していることを伝え、県における単品スライドの適用件数を質問した。県は協議中が11件、相談中が6件で、うちインフレスラドが13件、単品スライドが4件となっていることを明かした。

 生産性の向上に関しては、日建連が建設DXやICT施工の推進に向けた県の課題や取り組みを尋ねた。

 県は災害復旧を除く全ての工事を対象に総合評価で「ICT施工.3次元化等の活用提案」を加点評価するとともに、「ICT活用実績証明書」による技術者の加点評価を行っているとした。

 その上で、ICT活用提案は昨年度に対象工事として発注した201件のうち、約6割の117件で行われたことを紹介。ICT活用実績証明書は、19年度の14枚から、21年度は80枚に増えたことを伝え、引き続きICTの普及・拡大に取り組む意向を示した。

 日建連はBIM/CIMの活用に関する県の考えを質した。県は技術者が積算するシステムと合わせて来年4月に3DCADを導入し、職員が慣れ親しむまでに1~2年はかかるとの見通しを示した上で、スキルの向上と合わせてBIM/CIMの拡大を図っていきたいと返答した。

 DXの推進に向けては、地域建設業に対し、災害対応力を強化するためのBCP策定や防災資材の調達に要する費用と合わせて、ICT導入支援に要する費用等も補助するなど、持続的な維持・発展につながる施策を検討していると答えた。

 働き方改革と担い手確保のテーマでは、建設キャリアアップシステム(CCUS)に関し、CCUS推進機構が9月末時点で公表した県内の登録状況によると、事業者登録が4298者、技能者登録が3万1840人で、県内の建設許可業者や技能者の50%程度と他県に比べても高い状況にあることから、県が引き続き総合評価でのCCUS加点状況などを注視しながら、国が掲げる23年度からのCCUS完全実施に向け、さらなる活用促進の取り組みを推進するとした。

 週休2日の取り組みに関しては、県が本年度にモデル工事の対象となる400件弱のうち、発注者指定型が45件、受注者希望型が251件になる予定を明かし、実施率が76%程度であると説明。今後は発注者指定型の件数を段階的に増大させるとともに、発注者協議会等を通じて市町村にも周知を図るとした。

 意見交換の最後に森田支部長は、日建連が目標を1年前倒しし、23年度から改正労働基準法の施行スタートと定め、スムーズかつ確実な法令順守の後押しになるよう取り組んでいることを紹介。昨年度の会員企業の実態調査を見ると、24年度の時間外労働の上限規制に照らし合わせた場合、28.6%が未達成と現状を伝え、今後に公共工事だけでなく民間工事にも週休2日が浸透することを期待するとともに、受注者として努力していくことを誓った。

生産性の向上や働き方改革などについて話し合った

生産性の向上や働き方改革などについて話し合った

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