板戸大橋など「妥当」 公共事業の事前評価 審議3件と報告5件(栃木県公共事業評価委員会)

[2022/11/29 栃木版]

 県公共事業評価委員会(委員長・山岡暁宇都宮大学地域デザイン科学部教授)は28日、宇都宮市内で本年度第2回の委員会を開き、県土整備部所管事業6件、農政部所管事業2件の事前評価を行った。このうち、宇都宮向田線の板戸大橋と小山環状線の粟宮アンダー、および武子川の仁神堂工区は総事業費が30億円を越える見通しとなることから審議案件となり、委員から事業着手が妥当であるとの意見が提出された。その他の5事業は、総事業費が30億円未満のため報告案件となり、所管課から事業の内容を委員に報告して意見や提言を受けた。

 今回審議した案件のうち、道路事業の主要地方道宇都宮向田線板戸大橋は、柳田街道のバイパス(愛称「宇都宮テクノ街道」)で暫定2車線のまま残る板戸大橋の完成4車線化を図るもの。事業区間は宇都宮市下岡本町~板戸町までの総延長1000mで、うち橋長は920m。全幅員22.0mのうち、今回整備する下流側の2車線分は11.0mとなる。

 既に計画区間の用地は取得済みで、総事業費は測量設計費約2億円、工事費約64億円の約66億円となる。事業スケジュールは、23年度に構造物詳細設計を策定し、工事を24年度から27年度までの4年間で実施する。

 委員からは、LRTの開通による便益への影響や交通需要予測への影響についての指摘があり、担当課は「LRTが開通しても周辺工業団地からの貨物輸送にこの路線は重要であり、交通量も1日2万台以上が見込まれるため4車線化は必要」と説明した。

 同じく審議案件の主要地方道小山環状線粟宮アンダーは、JR東北本線の踏切部を立体交差化(アンダー形式)して踏切を除却し、新小山市民病院へのアクセス強化や小山市街地中心部の交通渋滞緩和や交通事故の削減を図るもの。延長は800mで、幅員は2車線17.5mで計画する。

 事業期間は、23年度から32年度まで9カ年を見込む。23年度は道路詳細設計を策定して用地調査を実施し、23年度から27年度に用地を取得して、工事は27年度から32年度までの6年間を予定。総事業費は測量設計費約2億円、用地補償費約18億円、工事費約60億円の合計約80億円を見込む。

 道路事業の報告案件は、国道461号の大平工区と県道竜舞足利線(仮称)の山下町工区の2件。国道461号大平工区は、大内交差点前後の整備済み区間を結ぶバイパスを現道の南側に整備する。総延長は960m、幅員は2車線11.0mで、主要構造物は並行して流れる大内川を渡る橋梁3橋(1号橋:橋長35.8m、2号橋:同26.3m、3号橋:同18.4m)を計画する。

 事業スケジュールは、用地調査を23年度に着手し、用地取得を23年度から25年度まで、工事を25年度から27年度までの期間で実施する。総事業費は測量設計費約1億円、用地補償費約1億円、工事費約14億円の、計約16億円を見込む。

 県道竜舞足利線(仮称)山下町工区は、9月30日に新規事業化された足利スマートICのアクセス道路として新設する路線。延長は市道金丸五十部通りとの交差部から市道山下五十部通りとの交差部までの約1100mで、幅員は2車線14.5mで計画する。

 事業スケジュールは、23年度からスマートICの開通に合わせて27年度までを予定。用地調査を23年度に、用地取得を23年度から26年度までに完了させ、工事は24年度から27年度までの期間で実施する。総事業費は約18億円で、内訳は測量設計費約1億円、用地補償費約11億円、工事費約6億円とする。

 委員からは大平工区について、バイパスも土砂災害警戒区域の範囲内にあると指摘があり、担当課は盛土で対策してバイパスを整備すると説明。また山下町工区は、自転車の通行レーンについての質問があり、担当課は路肩を両側に各1.5m確保して、そこを通行させると説明した。

 河川事業の審議案件となる一級河川武子川の仁神堂工区は、鹿沼市千渡地先から仁神堂町地先までの河川改修事業となる。これまで局所的な護岸整備を実施してきたが、抜本的に対策して、流下能力を現況の概ね毎秒50立方mから毎秒130~150立方mへと向上させ、概ね5年に一度の割合で発生する洪水流量を安全に流下させるように整備する。

 事業箇所は、下流端の県道飯岡橋から、上流端の市道1008号線希望橋までの総延長3500m。工事内容は、本工事が築堤約1万1000立方m、掘削約22万1000立方m、護岸約3万9000平方mで、このほか附帯工事として道路橋6橋、堰4基、樋管11基を改築する。

 事業期間は23年度から42年度までの20カ年で、測量設計を23年度から、用地調査と用地取得を24年度から着手し、工事は25年度から42年度までの18年間を予定する。総事業費は測量設計費が約1億円、用地補償費が約11億円、工事費が約39億円の計約51億円を見込む。

 委員からは、事業コストの縮減策として採用を検討する新技術の内容について質問があり、担当課はICT施工による生産性の向上や、道路橋の施工に成床版を採用して桁の本数を減らすなどの対策を例に挙げた。

 河川事業の報告案件となる一級河川荒川(塩谷)の三箇工区も、局所的な護岸整備を実施してきたが、抜本的な改修には至っていないため、河川断面を拡大して流下能力を向上させる。総延長は那須烏山市藤田地先の藤田橋から小白井地先の青雲橋までの約3800mで、工事内容は本工事が築堤約8万8000立方m、掘削約33万5000立方m、護岸約7000平方m。このほか附帯工事として、道路橋1橋、堰1基、落差工1カ所、樋管5基を改築する。

 事業期間は23年度から42年度までの20カ年。測量設計を23年度から、用地調査と用地取得を24年度から着手し、工事は25年度から42年度までの18年間で実施する。総事業費は測量設計費が約2億円、用地補償費が約2億円、工事費が約25億円の計約29億円で計画する。

 農政部所管事業は、圃場整備事業の県営農地整備事業練貫地区とかんがい排水事業の県営水利施設整備事業市の堀用水地区の2事業で、いずれも報告案件となる。

 練貫地区は、ほ場の大区画化やスマート農業に対応した基盤整備を実施し、担い手の集積・集約化や生産拡大を促進する。区画整理84.1ha(水田79.9ha、畑4.2ha)や用水路工11.0km(パイプライン、揚水機13基)、排水路工10.6km(開水路4.7km、管水路5.3km、取付水路0.6km)、道路工15.0kmを計画し、事業期間は23年度から29年度までの7カ年、総事業費は19億円とする。

 市の堀用水地区は、老朽化した施設を改修するとともに、堰の統廃合による水管理の省力化や小水力発電の整備で維持管理費の節減や再生可能エネルギーの活用促進を図る。幹線用水路の改修64.24km、堰改修10カ所、扉体更新3カ所、らせん水車型発電機(46.0キロワット)1カ所、遠隔監視装置2カ所、水位計2カ所などを整備し、事業期間は23年度から29年度までの7カ年、総事業費は27億2000万円を見込んでいる。

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