時間外労働の対応協議 遠隔臨場など必要性共有(日建連東北とNEXCO東北)

[2022/12/8 宮城版]

時間外労働の問題に絞って意見交換した

時間外労働の問題に絞って意見交換した

 日本建設業連合会東北支部(森田康夫支部長)は6日、仙台市内でNEXCO東日本東北支社との意見交換会を開催した。時間外労働の上限規制を踏まえた働き方改革にテーマを絞り、集中的に議論した。高速道路のリニューアル工事で現場がどのように運営されているかを確認し、遠隔臨場や適正な工期設定などの必要性を共有した。

 意見交換会には、日建連東北支部から森田支部長ら13人、NEXCO東日本東北支社から田仲博幸執行役員東北支社長ら12人が出席。時間外労働の上限規制を踏まえた高速道路工事における働き方改革について非公開で話し合った。

森田支部長

森田支部長

 あいさつで森田支部長は、建設業における「担い手不足の解消が引き続き大きな課題」との認識を示し、日建連東北支部として「この問題解決に向け、手を尽くして取り組み、皆さまから信頼される魅力ある産業として社会貢献に尽くしたい」と力を込めた。

田仲支社長

田仲支社長

 田仲支社長は、2024年4月から建設業全体に時間外労働の上限規制が適用されることについて触れ、「建設業を取り巻く環境に機動的に対応していくことが東北の建設業の現場において重要である」と述べ、NEXCO東日本東北支社としてこの課題解決に積極的に取り組む意向を示した。

 意見交換では、NEXCO東日本東北支社が発注し、日建連東北支部の会員企業が受注している工事のうち、高速道路のリニューアルに伴う橋梁の床版取り替え工事3件と、耐震補強工事1件について、それぞれの受注企業から意見や要望を聞いた。

 特に床版工事は交通規制や昼夜連続での施工と、1日でも早い交通規制の解消が求められる厳しい環境にあるため、約1カ月当たりの時間外の労務状況や、具体的にどのような作業で時間を要しているのかといった点を聞き取った。

 その結果、工事4件とも年間で見た場合、労働時間が基準内に収まっていることを確認。ただし、月単位では上限の45時間を超える月もあれば、収まる月もあるという状況が分かった。

 さらなる労働時間の削減に向けては、日建連側から「遠隔立ち合い(臨場)の積極的な導入で現場負担が大きく低減されるのではないか」という意見が出された。

 遠隔臨場についてNEXCOは、一部の工事で試行的に採用していることを伝えつつ、さらに有効な取り組みを今後に考えていきたいと回答。大林組からは「材料検査を遠隔立ち合いで行ってもらい大変ありがたい」という発言があった。

 このほか、受注者が作業員の増員などで対応している点に関しては、増員分の費用が発生するため、NEXCO側が費用や適切な工期設定も含め現場状況の改善に向けた対策を前向きに検討すると応じた。

 週休2日については、NEXCOが昨年4月から原則週休2日で工事発注しており、これまでに竣工した工事は全て工期全体での週休2日を達成していることを明かした。

 書類の簡素化に関しては、NEXCOが2017年7月に土木工事関係書類提出マニュアルを作成し、受発注者のどちらが作成するか、さらに紙と電子のどちらで作成するかなどを明文化しており、今年7月にもマニュアルを改正して二重提出の防止や押印の省略などを定めたことから、さらなる周知に努めることとした。

 働き方改革以外の話題では、スライド条項の運用に絡めて、日建連側から資材高騰で苦労している現場もあるという問題が提起された。

 最後にNEXCOは高速道路のリニューアル工事に関し、今後は東北の南側でもまだまだ必要になってくる見通しを示した。

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