予算の傾斜配分求める 整備局に施工余力アピール(東北建協連ら)

[2023/10/14 宮城版]

千葉会長(左)が山本局長に要望書を手渡した

千葉会長(左)が山本局長に要望書を手渡した

 東北建設業協会連合会(千葉嘉春会長)と東北公共工事品質確保安全施工協議会(向井田岳会長)は12日、仙台市内で東北地方整備局との意見交換会を開催した。連合会は公共事業予算の確保に関する要望書を提出。東北地方の地域建設業は施工余力が十二分にあると主張し、予算に関する東北地方への傾斜配分を願った。

 意見交換会には連合会と品確・安全協議会から千葉会長や向井田会長ら26人、同局から山本巧局長ら17人が出席。今後の東北地方における建設産業のあり方について意見を交わした。

 あいさつで山本局長は、建設産業が今後もしっかり継続して仕事を続けていくためには「中期的かつ持続的な予算が確保されて経営が安定することが大切」と述べ、本年度の補正予算で必要な予算を確保するとともに、中期的には国土強靭化の次期計画で「東北のインフラ整備の必要性を訴えていきたい」と意気込んだ。

 さらに山本局長は、新規の入職者にとって「この産業を魅力ある職場にしていかなければいけない」と指摘。給与や休暇の取得、時間外労働規制への対応において「発注者側で変えていかなければいけないことが多々ある」との認識を示し、改善への取り組みに意欲を見せた。

 千葉会長は「災害対応を含めて地域建設業が持続的に発展していくためには継続した安定的な公共事業費の確保、中長期的な事業量・事業費の確保、強靭化対策が必要」と訴え、政府が月内にまとめる経済対策において「大型補正予算を編成し、当初予算が激減している東北地方に傾斜配分を切に願う」と力を込めた。

 意見交換の前に千葉会長は、山本局長に要望書を手渡した。要望書には抜本的な治水対策の強化推進、熱中症対策に必要な現場実態に即した施工歩掛や経費の改善、大震災前と同じ4000億円程度の当初予算の確保、時間外労働の罰則規定に関する判断基準の明確化、稼働時間の減少に伴う適正な工期設定と関係経費の適正計上などを盛り込んだ。

 意見交換では同局が安定的かつ必要な予算の確保に努める意向を表明。現在進めている国土強靭化の5カ年加速化対策は3年目で、これまでに全体事業費約15兆円の約7割が配分されているものの、4年目の来年度もこれまでと同額が確保できるように努めるとした。

 時間外労働の上限規制に関しては、連合会らが国だけでなく県や市町村も含めた週休2日工事等の取り組み姿勢を質した。同局は厚生労働省らと開催している建設業関係労働時間削減推進協議会や労働時間等説明会などで「関係を密にしながら何かあれば問い合わせできるような体制を構築したい」と回答した。

 同局は週休2日工事を発注者指定型で基本的に全て発注しており、それに見合わない経費については新たな補正を国交省の本省で検討しているため、その動向に合わせて対応する考えを伝えた。

 連合会側からはこのほか、降雪が少なくなると除雪作業車のオペレーターがいなくなってしまうのではないかという不安の声や、建設業が災害対応と家畜伝染病の防疫措置に当たっていることについて国にも広報活動を展開してほしという要望が出された。

 同局は除雪に関し、市街地部で運搬・排出を計画的に行うなど、通年で仕事が行える方法を検討すると応じた。

働き方改革や担い手確保などについて意見交換した

働き方改革や担い手確保などについて意見交換した

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