新消防署建設を計画 南分署と荒川沖消防署の統合(土浦市)

[2024/1/23 茨城版]
 土浦市は新消防署庁舎整備基本構想案を公表した。構想案によると、土浦消防署南分署の老朽化を受けて、市南部に新たに消防署を整備する。その際には、南分署と荒川沖消防署の機能と人員を集約させ、広域的な災害や女性職員にも対応できる新たな防災拠点として整備していく。建設場所は検討中とし、庁舎の規模は2階程度の低層建築物を想定。24年度以降に基本計画や用地取得などを実施。新施設の竣工は27年度を目指す。

 市では公共施設等総合管理計画を踏まえ、消防本部全体の抜本的な見直し・改善に向けて検討を進めてきた。その中で、南分署については、老朽化の進行や土地・建物が狭あいであることなど、課題が山積している。また、市南部を管轄する荒川沖消防署でも交通事情や住宅街に接する立地など、課題を抱えているという。そこで市は、南分署と荒川沖消防署を統合し、機能と人員を集約した新たな防災拠点を整備することになった。

 新消防庁舎整備の基本的な考え方には、▽災害に強く持続可能な庁舎▽活気のある庁舎▽機能性を追求した庁舎▽経済的な庁舎──を掲げる。このうち、活気のある庁舎では、凄惨な現場での活動や24時間の連続勤務など、精神的・肉体的ストレスを多大に受ける消防職員の疲労を軽減し、職員が積極的に活動することをサポートする施設とする。また、経済的な庁舎では、省エネルギー設計により維持管理コストを低減するほか、公共施設の長寿命化に対応し、改修・修繕の際にコストのかからない経済的な施設とすることを明記した。

 建設地については、検討委員会で検討中となっている。建設地の条件としては、市内全域に迅速に出場できる交通のアクセスが良い幹線道路沿いにあることが望ましいとした。また、住宅街を避けたエリアであることも望ましいと言及している。

 敷地については、消防ポンプ車操法ができる訓練場を整備するほか、常磐道の桜土浦インター付近にあることから、緊急消防援助対応援車両などの集結場所として機能すべく、大型車両駐車スペースを確保した面積が望ましいとした。

 庁舎の規模については、本部庁舎のバックアップを考慮し、地震その他の災害に強く、迅速な災害出動ができる設計とし、2階程度の低層建築物とする。内部には執務スペースと署員の生活スペースを含め、消防車両の車庫や倉庫、各種訓練に対応できる訓練施設を配置。車庫は本庁舎と同一棟とし、各車を安全に安全に点検整備するために十分な面積と高さを確保するとした。

 市ではこの基本構想案について、パブリックコメントを実施し、9日まで市民からの意見を募集していた。今後は市民の意見を踏まえたうえで、基本構想を策定することになる。

 本年度はこのほか、市消防署庁舎整備検討委員会を設置し、候補エリアの選定について検討を行っている。24年度以降には、基本計画の策定や用地の購入を行う。その後、基本・実施設計をまとめ、土地の造成工事、新築工事を行う流れとなる。新施設の竣工は27年度を目標に掲げた。

 なお、統合の対象となる施設の規模をみると、南分署がS造平屋320平方m、配置車両3台(消防ポンプ自動車・2000リットル水槽付、高規格救急自動車、査察広報車各1台)、1983年竣工。荒川沖消防署がRC造2階建て、延べ537平方m、配置車両4台(消防ポンプ自動車・2000リットル水槽付、消防ポンプ自動車、高規格救急自動車、査察広報車各1台)、74年竣工となる。

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