建設地は駅東地区 複合文化施設 審議会が市長に中間答申(石岡市)

[2024/2/9 茨城版]
 石岡市複合文化施設整備審議会は1日、同施設の基本計画について、谷島洋司市長に対して中間答申を行った。中間答申では、建設地と施設機能、事業手法などを盛り込んだ。このうち、建設地については駅東地区にある「鹿島鉄道跡地」と「市営駅東駐車場」のいずれかが適地だと判断。施設機能は600-800席程度のメインホールと150-200席程度のサブホールの2つを整備するとした。今後は、早期に施設の規模と、建設地のどちらに本体施設を建設するのかを決定していく。また、7月までに概算事業費を算出する見通しとなっている。

 複合文化施設整備事業は、老朽化を受けて閉館した市民会館の移転改築を行うもの。基本構想によると、新施設にはホール機能を盛り込むことを明記。その際には、近隣自治体の類似施設と差別化し、市のシンボル感や存在感、個性を持たせることで、県南地域の中でも特色あるホールを目指していくとした。現在は基本計画に着手しており、24年度中に策定する予定となっている。なお、業務は横須賀満夫建築設計事務所(水戸市)が担当する。

 審議会の中間答申をみると、建設地については、鹿島鉄道跡地(約7700平方m)と市営駅東駐車場(約6900平方m)のいずれかが適地だと判断した。駅東地区を選定した理由として、コンパクトなまちづくりや地域公共交通との連携ができ、さらには文化芸術の裾野を広げ、地域に根付かせていくために「ついで利用」ができることを挙げる。ただし、敷地の地盤や、鉄道との近接による騒音や振動に対する懸念が示されたことを踏まえ、効果的な対策工事や周辺土地への影響、対策費の増加について十分に検証することを求めた。

 施設機能については、ホール機能として、メインホールとサブホールの2つを整備することを明記。このうち、メインホールは、音楽や演劇など、本格的な文化活動に利用できる施設とする。規模は旧市民会館の規模や今後の人口予測などを踏まえ、600-800席程度とした。

 サブホールは、ダンスや軽スポーツ、小規模な集会・講演会、ギャラリーなど、若者などの小規模団体でも気軽に利用できる施設とする。規模は150-200席程度とし、座席やステージが収納可能な平土間形式を採用していく。

 ホール以外の機能については、▽市民ギャラリー▽アトリエ・工作室▽音楽スタジオ▽和室──などを盛り込み、子育て支援や部活動の地域移行、学び直しを意識し、幅広い年代の市民が多様な文化芸術活動を体験できる環境を整備することを求めた。あわせて、▽図書館の一部の機能(図書スペース)▽会議室▽学習スペース▽調理室▽小さな子どもが遊べる屋内スペース▽民間テナントスペース──の機能も整備することを言及している。

 事業手法については、施設整備は公設を基本とすると明記した。ただし、設計者の選定にあたっては、想像力や技術力など、民間事業者が能力を活用するため、コンペやプロポーザルを検討することを要望。運営・維持管理については、市民や地域との関わりを留意しながら民間活力を積極的に活用することを求めている。

 この答申を踏まえて、市では複合文化施設の基本計画を24年度中にまとめていく。まずは、建設地のうち、鹿島鉄道跡地と市営駅東駐車場のいずれかに本体施設を整備するのかを決定していく。候補から外れた用地については、駐車場を整備する予定。その後、施設の機能と規模を決定し、7月ごろには概算事業費を算出する見通しとなっている。

 基本計画を策定した後は、25-26年度の2カ年で基本・実施設計をまとめ、27-29年度の3カ年で本体工事を実施していく。供用開始は30年度になる見通しだ。

 なお、今回の答申により建設地の候補から外れた「いしおかイベント広場(約2万7500平方m)」については、民間活用の協議を開始していく。イベント広場は、これまでに民間事業者が同地に商業施設を整備したいという申し出があったという。しかし、これまでは、複合文化施設の建設地が決定していなかったため、市では事業を保留としていた。

 しかし、今回の中間答申により複合文化施設の建設地が決定したことを踏まえ、事業を進めることが可能になった。7日に開催した複合文化施設建設特別委員会では、谷島市長がイベント広場の活用として、民間施設の整備とあわせて、図書館やふるさと歴史館、屋内外遊具などの機能を整備する方向性を示した。

 図書館の機能については、老朽化が進む中央図書館の移転を想定する。ふるさと歴史館は、石岡小学校の敷地内に位置する民俗資料館。施設の老朽化を踏まえて、同施設も移転を行う。屋内外遊具については、老朽化によって解体した児童館の機能をイベント広場に集約することを想定しているという。

 今後は提案のあった民間事業者と協議を開始し、整備手法などについて検討を開始していく。なお、イベント広場での民間事業者の選定方法については、現時点では未定としており、これから決定していくという。

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