公共事業費に772億円  高校再編で施設整備 県新年度予算案 新防災教育施設の設計策定

[2024/2/9 栃木版]

 福田富一県知事は8日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計は9328億円で、前年度当初から458億円(4.7%)減少した。3年連続の減少となり、2年続けて1兆円の大台を下回っている。このうち投資的経費は、単独事業が前年度並みを維持したものの補助・直轄事業費が減少したことで、全体としては3.9%減の1351億円となっている。新年度は、公共事業費に国補・県単・直轄負担金あわせて772億円を計上するとともに、県庁舎や県立学校施設の長寿命化改修を推進。また新たに、第三期県立高等学校再編計画の施設整備や新防災教育施設の設計策定、盛土規制法に基づく基礎調査などに着手する。=2面に主要事業の概要

 予算編成にあたっては、「政策経営基本方針」に基づく▽とちぎ少子化対策緊急プロジェクトの推進▽G7大臣会合を契機とした女性活躍の推進▽積極的なグローバル展開による地域経済の活性化▽DX・カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの加速-の積極的な展開を図るとともに、「とちぎ未来創造プラン」や「とちぎ創生15戦略(第2期)」を着実に推進するための予算を編成した。

 歳入面は、堅調な企業業績などを背景に法人事業税が増収となる一方、定額減税による個人県民税の減収が大きく影響し、県税が70億円の減となった。定額減税分は全額国費で補てんされるものの、地方交付税と臨時財政対策債があわせて30億円の減となるなど引き続き財源不足が生じたことから、県債の発行や県債管理基金の活用などで所要財源を確保した。

 歳出面は、投資的経費で単独事業が0.1%増の612億円と前年度並みを維持した一方、河川改良復旧事業の進捗による減少などで補助・直轄事業費が7.0%も大幅に減少し、全体では3.9%減の1351億円となっている。

 投資的経費のうち、国補公共事業費は前年度比9.3%減の567億円で、直轄事業費は2.0%減の55億円。災害復旧費は1.1%増加し、22億円を計上する。単独事業費のうち、県単公共事業費は0.9%増の151億円。内訳は、県単土木事業が0.9%増の145億円で、県単農業農村整備事業費と県単林務事業費は前年度と同様に3億円ずつ計上する。

 義務的経費は、高齢化の進行などで医療福祉関係費が増加するほか、退職手当や公債償還費が増加し、全体としては0.9%増の5384億円となった。その他の経費は、新型コロナウイルス感染症対策経費が減少したことで、全体では14.7%減の2593億円となる。

 特別会計は、9会計の総額が前年度当初比0.1%減の2180億4992万円となる。企業会計の資本的支出は、流域下水道事業会計で4.7%、水道事業会計で42.8%、工業用水道事業会計で19.9%それぞれ増加したものの、電気事業会計が44.2%、用地造成事業会計が5.1%、施設管理事業会計が38.1%減少しており、6会計の合計は8.9%減の93億0400万円となっている。

繊維技術センター建て替えへ調査

 新年度の主な事業は、「DX・カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの加速」に向けて、次世代GIS構築事業費に1800万円を予算化し、データ連携基盤を活用した次世代GIS構築に向けた調査や基本計画の策定を行う。24年度は調査や詳細検討を進め、25年度の構築および運用開始を目指す。

 次期防災情報システム整備事業では、国が構築中の防災情報システムや次世代GISと連携した防災情報システムの構築に向けて調査・設計を行うため、5500万円を計上する。25年度まで2カ年で調査・設計を実施し、26年度と27年度の2カ年で構築して、28年度の運用開始を予定する。

 インフラDX推進事業費には、14億2300万円を予算化した。このうち、新たに河川区域指定のある重要河川の河川区域図のデジタル化に取り組むため、1900万円を配分している。

 とちぎデジタル県庁推進事業のうち、働き方改革対応型PC環境整備費には10億2700万円を盛り込んだ。引き続き無線LAN等環境整備を進めるとともに、新たにグループウェアの更新(クラウド化)に向けた調査・設計を実施する。

 カーボンニュートラル推進事業費は、あわせて12億4300万円を確保した。このうち県庁率先脱炭素化事業費は、水産試験場片府田試験池や畜産酪農研究センターなどを対象にPPAモデルによる太陽光発電設備を導入するほか、7施設で公用車EV充電設備を整備するため、5億9600万円を配分する。

 非住宅建築物ウッドチェンジ事業費は1億0900万円を予算化し、民間非住宅建築物の木造・木質化に対する助成を行う。木造化は延床面積1平方mあたり3万5000円、木質化は施工面積1平方mあたり1万円を補助する。

 また重点戦略を見ると、「安全・安心戦略」では新防災教育施設整備費に8900万円を計上した。24年度と25年度の2カ年で基本・実施設計を策定し、26年度から28年度にかけて工事を実施する計画となっている。

 県土強靭化プロジェクトでは、公共事業費に772億7400万円、緊急防災・減災対策事業費に30億円、県立学校施設長寿命化推進事業費に24億8800万円、耐震改修等促進事業費に1億5200万円を確保して、社会資本の整備・保全などのハード対策を計画的に推進する。交通安全施設整備費には19億4200万円を盛り込み、信号機の新設・更新や標識・標示の新設・更新などを引き続き推進する。

 また新たに、盛土規制法基礎調査事業費として1億1000万円を予算化した。宇都宮市を除く県全域の500平方m以上の既存盛土を対象に、宅地造成や特定盛土等規制法に基づく既存盛土などの分布調査、応急対策の必要性判断、安全性把握調査の優先度評価などを実施する。

 「地域・環境戦略」は、県庁舎周辺整備検討事業費に800万円を計上し、引き続き県庁舎周辺の県有地の利活用に向けた検討を実施する。生活交通ネットワーク形成促進事業費には3億8500万円を予算化し、交通事業者などが行う無人運転移動サービスの実証実験を支援する。このほか、とちぎの元気な森づくり県民税事業費には21億9600万円、スマート林業推進事業費に8700万円を確保した。

 「人材育成戦略」では、第三期県立高等学校再編計画施設整備費に2億3300万円を予算化し、学校の統合などのための施設整備を実施する。子ども総合科学館の大規模改修は、23年度から25年度までの3カ年で総事業費約33億円を投じ、展示物などを更新する計画で、新年度は13億6000万円を計上して引き続き改修工事を進める。

 足利高等学校整備事業費は、県立学校再編計画に基づく足利高と足利女子高の統合校の校舎整備を22年度から24年度までの期間で実施している。新年度は最終年度として13億5600万円を計上し、校舎の建設や外構工事などの完了を目指す。

 「文化と知」の創造拠点整備構想策定事業費には2200万円を盛り込み、県立美術館・図書館・文書館を本県の文化振興の中核となる「文化と知」の創造拠点として整備する構想を本年度に引き続き策定する。

 「産業成長戦略」では、繊維技術支援センター整備費に1900万円を予算化する。新年度は建て替えに向けて、アスベスト調査や地歴・土壌汚染状況調査、敷地測量を実施する。

 「健康長寿・共生戦略」では、介護基盤整備等事業費に12億4800万円を予算化した。老人保健福祉施設整備助成費は、特別養護老人ホーム創設3カ所に6億1560万円を、障害福祉サービス事業所創設3カ所と障害児通所支援事業所創設1カ所に3億3372万円、放課後児童クラブ創設13カ所と改築11カ所に1億5275万円の、計11億0208万円を確保する。

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