合築して一部を共用 「文化と知」の創造拠点検討委 施設整備など協議(栃木県総合政策課)

[2024/3/19 栃木版]

 県総合政策課は18日、県総合文化センターで第4回「文化と知」の創造拠点整備構想策定検討委員会(委員長:須加英之宇都宮共和大学・宇都宮短期大学学長)を開催した。今回は、「文化と知」の創造拠点の基本理念とコンセプトについて確認し、整備構想の中間案をまとめたほか、施設整備や管理・運営について協議して委員が意見を出し合った。このうち整備計画では、3つの施設それぞれに固有スペースを保持しながら、一部を共有する形で建物を合築する方向性が了承され、管理・運営では3施設のコア業務を行う部門のほか、全体の企画運営を行う部門を設置することとした。

 委員会ではこれまで、「開く」「つなぐ」「生み出す、育む」の3つの視点を抽出し、コンセプトに「とちぎの『文化と知』を開く・つなぐ・育む拠点」と位置付けた。中間案ではこのコンセプトを踏まえ、「文化と知」の創造拠点の機能と役割まで提示する。

 前回からの主な変更点として、美術館の基本的な機能では「来館者サービス」から「アメニティ」へと変更し、来館者が集い、憩い、交流できる場(レストランなど)を提供する。図書館の基本的な機能では「教育・普及」の項目を追加し、教育機関など様々な分野と連携した講座の実施などで利用者の学びや新たな価値の創造を支援する。

 施設整備は、基本的な考え方として「とちぎらしさが感じられる施設とするとともに、コンセプトを意識した施設整備を行う」とし、基本的な性能では「防災・防犯に関わるもの」で安全性能の確保をはじめ、公開承認施設の基準、および美術品補償制度の適用基準を満たすものとする。また、「環境配慮に関わるもの」ではZEB化や木造・木質化、長寿命化など、「共生社会に関わるもの」ではユニバーサルデザイン化を盛り込んだ。

 諸室のうち、共用が考えられるものには▽くん蒸室▽ギャラリー▽アートライブラリー▽ホール▽多目的室▽レストラン▽ショップ▽エントランスホール▽総合インフォメーション▽カフェ▽キッズルーム▽事務室▽職員用会議室-を設定。建物の一体化は、一部の施設・設備を共有しながら各施設固有のスペースも確保する合築(一部供用)とし、3つの施設の連携や利用者の交流、創造に係わる諸室は共用スペースで整備する。

 委員からは、共有スペースが3施設を一体的に整備する今回の計画の目玉になるとして、共有スペースの在り方のさらなる検討が必要としたほか、LRT停留所から施設までの歩道や施設内の駐車場、さらには施設内で各施設をつなぐ動線計画についても、さらなる検討が必要といった意見が出ていた。

 管理・運営では、各施設のコア業務を行う部門のほか、全体の企画運営を行う部門を設置して、連携企画などの立案・運営や、広報、全体の調整、総務事務などを一体的に実施する計画とした。

 検討委員会はこの後、第5回で施設整備計画、管理・運営計画、および整備事業の進め方について協議し、第6回で整備構想案をまとめる予定。構想がまとまったあとは、引き続き6~7年程度の期間で設計および建設工事を実施する見通しとなっている。

 なお、「文化と知」の創造拠点整備基本構想策定支援業務は、公募型プロポーザルで特定したPwCアドバイザリー合同会社(東京都千代田区、吉田あかね代表執行役)と昭和設計東京事務所(東京都港区、鳥居久人取締役所長)の共同企業体に委託している。PFI等導入可能性調査もPwCアドバイザリーを特定し、3月下旬にも契約を締結して25年2月28日の調査業務完了を目指す。

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