概算工事費は8.3億円 北部分署 26年度から庁舎建築着手(栃木市)

[2024/3/26 栃木版]

 栃木市は、都賀分署と西方分署を統合した(仮称)消防署北部分署の整備基本設計を明らかにした。消防総務課によると、西方町元地内の約4700平方mにS造2階建て・延べ床997平方mの分署庁舎を建設する。整備スケジュールは、実施設計を24年度末までに完了させ、25年6月から11月に造成工事、26年4月から27年5月に庁舎等の新築工事、27年6月から11月に外構工事、27年6月から27年2月に備品および通信指令機器工事を実施する。新庁舎の供用開始は28年2月を予定し、工事費は8億3800万円と試算している。

 市の消防署は、岩舟分署を除いて施設や設備の老朽化・狭あい化が進み、1981年以前の旧耐震基準の施設でもあることから早急な改善が必要となっている。市は現在の6署所体制を変更して5署所体制に改め、栃木地域、大平地域、岩舟地域、藤岡地域、都賀および西方地域にそれぞれ配置する。このうち、栃木地域の本部庁舎は新庁舎整備が完了した。

 北部分署の建設予定地は、東に市道53077号線、西に一般県道上久我栃木線と接する西方町元地内で、敷地面積は約4700平方mとした。分署庁舎・資機材倉庫・危険物倉庫は敷地中央に配置し、資機材倉庫と庁舎の間に資機材積載スペースを配置してアスファルト舗装のほか、中央に側溝を整備する。危険物倉庫と並ぶように受水槽・自家発電機・キュービクルを配置し、水害対策として基準点より0.75m高い高基礎に整備して周囲にメンテナンススペースを設ける。

 敷地北側は訓練エリアとし、訓練塔・ホース乾燥塔・耐震性防火水槽などを配置する。訓練エリア東にヘリ活動エリアを配置し、ヘリポートを設置する。アスファルト舗装を行い、北側と東側に防風フェンスを設置する。敷地南側は駐車場(20台)や駐輪場(10台)を配置し、庁舎に最も近い位置に車いす用駐車場を設置する。

 新分署の設計コンセプトは▽市民の安全安心を支える庁舎▽迅速かつ的確な災害対応のできる庁舎▽訓練施設等が整備され消防力が向上する庁舎▽地域消防力の向上と防火・防災啓発となる庁舎▽経済性・環境性能・利便性に配慮した庁舎-としている。

 市民の安全安心を支える庁舎では、耐震性能として構造体I類・建築非構造部材A類・建築設備甲類とし、地盤嵩上げによる浸水対策や、上水・雑用水の確保、非常用発電機を設置する。

 迅速かつ的確な災害対応のできる庁舎では、事務室を1階に配置し、出動準備室と出動階段を中央配置するほか、緊急車両出入口間口を大きく確保する。災害対応に対しては、複数電源や防災用井戸を設置する。

 訓練施設等が整備され消防力が向上する庁舎では、南面採光の事務室や自然採光・通風の採用、仮眠室の個室化、女性専用ゾーンの形成を行う。

 地域消防力の向上と防火・防災啓発となる庁舎では、市民の防災意識を啓発するPRコーナー、周辺環境との調和などを実施する。経済性・環境性能・利便性に配慮した庁舎では、太陽光発電設備、庇やLow-Eガラスによる熱負荷低減、ユニバーサルデザイン、内装木質化などを図る。

 分署庁舎の規模はS造2階建て・延べ床997平方m、資機材倉庫はS造平屋建て・延べ床198平方m、危険物倉庫は軽量S造平屋建て・延べ床3平方m、駐輪場はアルミ造平屋建て・延べ床9平方mとする。また、訓練塔はRC造で高さ7.2m、ホース乾燥塔はS造で高さ11.65mとしている。

 分署庁舎の1階には玄関ホール、事務室、会議室、市民相談室、食堂、出動準備室、書庫、救急消毒室・救急資機材庫、資機材庫、洗濯・乾燥室、トイレ(男子・女子・多目的)などを配置し、庁舎北西側に車庫を設ける。庁舎2階には仮眠室(男子・女子)、屋内訓練室、倉庫、空調機等置場などを配置。庁舎の屋根には太陽光パネルを設置し、2階から屋上へのタラップも設置する。

 正面出入口は袖壁を設置し、表面を横ルーパーにして2階ベランダとデザインを統一する。ベランダ手すりは横ルーパーとし、庇とデザインを統一する。外壁は、厚120ALCパネル(縦型ロッキング工法)に防水形複層塗材E(ゆず肌状仕上)とする。外部サッシは複層ガラスのアルミサッシとし、ガラスはLow-Eガラスを使用して断熱性能を高める。

 概算工事費は8億3800万円と試算している。内訳は、庁舎の建築工事が3億4755万円、電気設備工事が1億6058万円、機械設備工事が8060万円、資機材倉庫が4729万円、訓練塔が1850万円、危険物倉庫が490万円、駐輪場が160万円、ホース乾燥塔が420万円、外構が881万円とした。

 都賀分署は1972年4月建設で、RC2階建て・延べ床290平方m。西方分署は1972年4月建設で、RC2階建て・延べ床289平方mとなっている。新庁舎完成後は、26年11月から28年3月に解体の設計を策定し、2庁舎とも28年5月から10月に工事を行う計画としている。

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