本館・新館を優先 市庁舎の段階的整備案(松戸市)

[2024/3/29 千葉版]
 松戸市は、新庁舎の整備ついて、段階的整備案を検討している。耐震性に課題のある本館と新館の建て替えを優先し、8年後の2032年度をめどに、第1ステップで、新拠点ゾーン南側国有地8745平方mに、延べ約2万平方m規模の新庁舎を建設する。その後、第2ステップで、本館・新館以外の庁舎整備を、図書館機能など他の公共施設の整備方針と併せて検討する。新拠点ゾーンまちづくり用地購入費38億円を計上した新年度予算案が可決したことから、第1ステップの整備に向け、早期に国有地を取得する方針だ。新庁舎と現庁舎の具体的な機能分担などについては、今後提出する国有地の取得議案が議会で可決された後に、2024年度中にも着手する基本計画の中で検討していく。

 段階的整備案は、「市が建て替え用地として想定している新拠点ゾーンは敷地が狭く平場の面積が少ない」など、市議会からの指摘をふまえて検討した。

 約2万平方mの延床面積は、現本館・新館の延床面積約1万5000平方mに、狭あい化の解消やバリアフリー化を見込んで算出している。一定の耐震性が確保されている議会棟と別館は、そのまま使用する。

 23年5月策定の「市役所機能再編整備基本構想」では、市役所施設・機能の課題として、「老朽化、分散化・狭あい化、バリアフリー化、耐震性能の不足、災害対応機能としての立地」を挙げており、段階的整備案では、このうち「分散化」を除く課題がほぼ解消できる見込みだ。

 具体的には、先行して約2万平方mの新庁舎を建築することで本館・新館の耐震性を解決し、安全性を早期に確保する。建築規模の縮小に伴う平坦部分の有効空地拡大により、発災直後の受援など災害対応拠点機能の強化が可能となる。

 また、バリアフリー化を図り、狭あい化を解消。別館や議会棟などを継続使用することで、財政負担の平準化を図る。第2ステップでは、行政オンライン化のさらなる進展などを踏まえつつ、時代にあった機能を見極める。

 デメリットとして、現地と新拠点の双方を使用することで、職員の移動が必要となるが、オンライン化など職員の移動を減らす工夫をするとともに、両庁舎の併用期間を可能なかぎり短縮する工夫を考える。

 事業費については、新庁舎の整備規模縮小に伴うコストダウンと物価高騰などに伴う増分を見込む必要があるものの、再編整備基本構想で概算した総事業費256億4000万円に収まるものと算定している。

 一方、現地建て替えについては、工事中の第3者への安全確保や工事中の災害対応が困難であること、来客駐車場の大部分が工事用の作業スペースになることによる100台以上の外部仮駐車場が確保できないといった課題がクリアできないことなどから、現実的ではないと判断した。

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