[2024/4/23　栃木版]

　県自然環境課は2024年度、自然公園等施設整備事業の交付金で日光市ほか3市町の計17施設に事業費2億3800万円を予算化し、三本松園地の改修やつつじ吊橋の改修などを実施する。同事業の県単林務では、8市町の計16施設に9600万円を確保して、歌ヶ浜駐車場などを改修するほか益子町が実施するフォレスト益子の改修を補助する。また、県単の首都圏自然歩道整備事業では、益子町ほか4市町の計8施設に3835万円を計上し、新規の「雲流れる桜花のみち」(茂木町、真岡市)や「麦笛のみち」(栃木市)で歩道改修を実施する。

　自然公園等施設整備の交付金事業のうち、日光市の三本松園地では園地の改修を実施している。本年度は、展望台に向かう木道の未改修箇所の延長70mの改修と、展望台付近の標識の更新を計画している。

　那須町湯本にある那須高原線歩道のつつじ吊橋は、延長約130m、高さ38mの吊り橋で、本年度は火山性のガスにさらされて傷んでいる部材を改修する。耐風索や支索、金具の交換をメインに、塗装の塗替えなども計画している。

　新規の箇所では、矢板市の前山八方ヶ原線歩道の整備に着手する。全体で5カ年の整備計画を策定し、それに基づき歩道の標識や木道の整備を実施する。

　県単林務の自然公園等施設整備は、新たに日光市の歌ヶ浜駐車場で、駐車場の周囲のフェンスをメインに改修する。この駐車場は奥日光地域の県営駐車場の適正利用や渋滞緩和を目的に、日光国立公園魅力アップ事業で有料化に向けた基盤整備工事を実施している。

　益子町の益子国民休養地では、県立自然公園の利用拠点として県が整備した「益子の森」の中に設置している標識を段階的に改修している。那須烏山市の八溝県民休養公園では、防護柵をはじめ細かな補修を実施する。

　また、益子町が実施する益子国民休養地内の宿泊施設「フォレスト益子」の改修では、老朽化した電源設備の改修に県から補助を行う。同様に、栃木市も太平山の県立自然公園内にある謙信平園地で園路の木製丸太階段の改修を計画しており、これを補助する。

　首都圏自然歩道整備事業は、21年3月に策定した計画に基づき、延べ19コースを22年度から26年度までの5カ年で整備している。本年度は茂木町の「未成線『長倉線』をたどるみち」に補助を継続するほか、新たに県が主体となって「雲流れる桜花のみち」と「麦笛のみち」にも着手し、いずれも歩道改修として標識を整備する。

　「未成線『長倉線』をたどるみち」は、鉄道敷設が計画されるも実際には完成しなかった鉄道「長倉線」の取得済みの用地や整備したトンネルを活用して、茂木町が一部をルートに割り当てて歩道として整備している。全体の延長は9.5kmで、首都圏自然歩道整備事業では標識の整備に補助を行っている。

　首都圏自然歩道は、「関東ふれあいの道」として関東地方の1都6県を一周する長距離自然歩道で、県内は日光国立公園内の庚申山から7つの県立自然公園を通り、福島県の白河の関跡で東北自然歩道と連結する36コース、延長389kmが設けられている。

　22年度からは整備計画に基づき、新規路線を追加するとともに、老朽化した施設を再整備している。再整備にあたっては、公衆トイレや休憩施設の整備による快適性・安全性の確保のほか、一部標識は更新するとともに多言語して外国人を含む利用者の利便性向上を図る。新規路線では、標識を含む歩道施設が整備されていないためこれらを整備する。

　本年度の自然公園等施設整備事業と首都圏自然歩道整備事業の主な事業箇所と概要は次の通り。
(▼は新規)
【自然公園等施設整備事業(交付金)】
▽三本松園地(日光市)＝[1]県[2]園地改修
▽中禅寺湖周回線歩道(日光市)＝[1]県[2]歩道改修
▽那須高原線歩道(那須町)＝[1]県[2]橋梁改修
▽塩原渓谷線歩道(那須塩原市)＝[1]県[2]歩道改修
▽八方ヶ原園地(矢板市)＝[1]県[2]園地改修
▼前山八方ヶ原線歩道(矢板市)＝[1]県[2]歩道改修
【自然公園等施設整備事業(県単林務)】
▼歌ヶ浜駐車場(日光市)＝[1]県[2]駐車場改修
▽益子国民休養地(益子町)＝[1]県[2]標識補修
▽八溝県民休養公園(那須烏山市)＝[1]県[2]防護柵補修
▼フォレスト益子(益子町)＝[1]益子町[2]建築物改修
▽謙信平園地(栃木市)＝[1]栃木市[2]園地改修
【首都圏自然歩道整備事業】
▼雲流れる桜花のみち(茂木町、真岡市)＝[1]県[2]歩道改修
▽焼き物としいの木のみち(益子町)＝[1]県[2]歩道改修
▽未成線「長倉線」をたどるみち(茂木町)＝[1]茂木町[2]歩道改修
▽稜線をたどるみち(栃木市)＝[1]県[2]歩道改修
▼麦笛のみち(栃木市)＝[1]県[2]歩道改修