地元企業への発注を 県土木部が常陸河川に要望活動

[2024/6/7 茨城版]
 県土木部は5月27日、国土交通省常陸河川国道事務所を訪れ、国の直轄工事における県内建設業者の受注機会の確保要請についての要望活動を行った。今回の要望では、県内に本店を有する建設業者への優先的な発注など5項目について要望を実施。田村央土木部長が佐近裕之所長に要望書を手渡した。これに対して佐近所長は、地元建設業者が果たす役割の重要性を認識したうえで、工事の特性や地域の実情を踏まえつつ適切に発注していく考えを示した。

 県土木部による県内建設業者の受注機会確保の要請は、県内を管轄する関東地方整備局の各出先事務所に対して例年実施しているもの。今回県土木部が要望した内容は、▽県内に本店を有する建設業者への優先的な発注▽自治体実績評価型や地域密着工事型の総合評価落札方式の積極的な活用▽総合評価落札方式における企業の信頼性社会性項目(地域精通度・地域貢献度)の高配点化▽県内の建設資機材の活用▽県内に本店を有する測量・調査・設計業者への優先的な発注──の5項目となる。

 あいさつに立った田村部長は、地域の建設業を大規模災害の復旧・復興や社会資本の整備に取り組むにあたって、必要不可欠な存在であると指摘。その一方、建設業界では担い手の確保や資材価格の高騰、働き方改革への対応など、課題が山積していることに触れたうえで、県では県内業者の受注機会確保に努めていることを説明し、「国が直轄する工事においても、県内業者の受注機会を確保するため、特段の配慮をお願いしたい」と語った。

 要望に対して、佐近所長は地域の建設業者について、社会基盤整備や維持修繕の担い手であると同時に、災害時には地域の守り手の役割を担っていると指摘。そのため、工事発注においても、将来にわたる品質確保や災害対応を含む地域維持の担い手確保への配慮が重要だとし、「工事発注にあたっては、工事の特性や地域の実情を踏まえつつ適切に発注していきたい」とコメントしている。

 また、地域精通度・地域貢献度については、配点が高い「地域密着工事型」や「地域防災担い手確保型」を実施していると説明。23年度から適用となった企業の施工能力と地域精通度・地域貢献度を評価する「企業能力評価型」も活用する考えを示した。

 県土木部は今後、常陸河川国道事務所以外の出先事務所に対しても同様の要望を行う予定だ。

 以下、要望書の内容は次の通り。
【県内建設業者等の受注機会の確保等に関する要望】

 本県では、東日本大震災や令和元年東日本台風、また、昨年の台風13号などの大規模災害からの復旧・復興を早期かつ着実に実施するとともに、施設の耐震化など防災・減災、国土強靭化に資する社会資本整備を進め「災害・危機に強い県づくり」に取り組むほか、県総合計画の基本理念である「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現に向けて「活力を生むインフラと住み続けたくなるまち」づくりを進めている。

 このような中、災害発生後の迅速な復旧作業や二次災害の防止、活力創出に係る広域交通ネットワークの整備や日常生活に密着する生活道路の整備、社会資本の適切な維持管理などを行ううえで、県内の地元建設業者は大変重要な役割を果たしている。

 その一方、建設業を取り巻く状況は、若年入職者の減少や高齢化による担い手不足、資材価格の高騰などの問題に加え、本年度からは建設業における時間外労働の上限規制が適用され、一層の働き方改革が求められている。

 これら喫緊の課題に対応するため、本県では県内の経済対策、雇用対策および地元業者育成の観点から、県内建設業者の受注機会の確保に努めているが、今後さらなる広範な対応が必要と考えている。

 ついては、本県内で予定されている貴所所管の直轄工事においても、県内建設業者の受注機会を確保するため、県内に本店を有する建設業者への優先的な発注、本県発注工事における工事成績評定点や表彰を評価する自治体実績チャレンジ型や地域密着工事型の総合評価落札方式の積極的な活用、および総合評価落札方式における企業の信頼性社会性項目(地域精通度・地域貢献度)の高配点化、県内の建設資機材の活用などについて、特段の配慮を要望する。また、測量・調査・設計業務においても、県内業者への発注について、特段の配慮を要望する。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.