巴波川で流出施設整備 事業概要 菊沢川は河道詳細設計を(県河川課)

[2025/4/29 栃木版]

 県河川課は、2025年度当初の国庫補助・交付金事業の概要をまとめた。それによると、本年度も令和元年東日本台風で被災した河川の改良復旧に重点的に取り組み、巴波川のシールド工事や田川の調節池整備などに多くの事業費を配分した。このほか河川改修事業をみると、菊沢川は新産業団地整備連携した河川改修で河道詳細設計を実施し、新規の尾名川は測量を実施する。構造物は巴波川の激特区間下流側で排水樋管の新設や樋管につながる水路の詳細設計を計画。武名瀬川では24年度補正を活用して7号町道橋の橋梁上部工を実施することから25年度予算で迂回路の撤去工事費を計上し、鹿島川は雨水函渠付け替えを実施する。

 本年度の主な事業のうち、河川激甚災害対策特別緊急事業(補助)では37億5090万円を計上し、巴波川の着工済みの地下捷水路シールド工事や流入施設、到達立坑の工事費の債務分に充当するほか、流出施設の落差工の事業費を確保した。

 この事業は、JR両毛線から荒川合流点まで延長約2.4kmの地下トンネルを整備するもので、事業期間は20年度から27年度まで、全体事業費は約178億円を見込む。地下捷水路本体工事は奥村・岩田地崎JVの施工で、このほどシールドマシン発進式を開催して本格的な工事を開始している。

 大規模特定河川事業(補助)には、あわせて6億6200万円を計上した。このうち宇都宮市の姿川(大谷)は、宇都宮市道635号線観音橋から下流側の県道宇都宮今市線までの間の河川拡幅に向けた用地測量を実施する。武子川はJR日光線武子川橋梁の架け替えに向けて、これに必要な施工ヤードを整備しており、その用地借地や地下水調査を行う。

 巴波川は、激特区間の下流側の一部で河道掘削を実施するほか、取水方法を背割堤から取水する方式から樋管塞き上げして取水する方式に移行したことに伴う排水樋管の工事と、樋管につながる水路の詳細設計を行う。

 杣井木川は、永野川合流点の排水機場の増設が完了し、引き続き調節池の整備を進めていく。調節池計画箇所の地下水への対策が必要となるため、調節池の面積を拡げて容量を確保することとし、本年度は拡大分の用地買収や物件補償、用地調査を実施する。

 旗川はJR両毛線より北側の区間で河道掘削を行うほか、河道の中にある民地の補償、河川改修に伴う市道橋の稲岡橋の架け替えに必要な用地補償を予定する。名草川は、袋川との合流点から上流側の宮前橋まで延長約800mの区間で掘削や築堤、護岸などを進めており、本年度は用地買収を実施する。

 防災・安全交付金は、田川に10億5000万円を予算化した。残る河道の掘削を進めていくほか、下流側の川田調節池の完成に向けた掘削や周囲堤の整備を引き続き進めて、25年度の事業完了を目指す。

 この事業は、上流側の山田川合流部から下流側の川田調節池までの延長6.5km区間で、河道を掘削するとともに調節池を2カ所整備して下流の河川水位を低減させる。川田調節池は、未買収地を除いて暫定供用しても調節池の機能を発揮できるよう施工計画を変更しており、変更に伴う掘削や周囲堤の工事を実施して完成を目指す。

 防災・安全交付金ではこのほか、6億8520万円を予算化して安全な川づくり事業を推進する。河川課では水文観測のほか、河川管理施設の長寿命化計画を更新する。秋山川は、改良復旧事業で架け替えている前橋水戸線大橋の下流側で残る箇所の掘削や築堤、護岸工事を実施し、大橋までの区間の早期完成を目指していく。

 武名瀬川では、河道拡幅に伴う町道7号橋の架け替えで、上部工を24年度の補正予算で確保した事業費で実施することから、25年度予算では迂回路の撤去工事費や橋梁前後の護岸工事などを実施する。

 江川(鳥山)喜連川では、ほ場整備と併せた河道拡幅を行っており、本年度は河川区域内の掘削を進めていく。鹿島川は、大田原市の市街地に調節池(上流・下流)を整備しており、その間の雨水函渠の付け替えを実施する。荒川(塩谷)の三箇工区は、藤田橋から青雲橋までの約3800mで河川改修に着手しており、本年度は掘削を計画する。

 菊沢川は、国道50号沿線開発事業(新産業団地整備)と連携した河川改修事業を実施しており、本年度は河道詳細設計を実施。尾名川は、足利市奥戸町地先でJR両毛線橋梁から旗川合流点の尾名川水門まで、総延長2650mの河川改修事業に本年度から着手し、測量を実施する。

 本年度の主な事業実施箇所は次の通り。(▽河川名(市町名)=[1]予算額[2]事業内容)
【河川激甚災害対策特別緊急事業(補助)】
〈栃木土木〉
▽巴波川(栃木市)=[1]37億5090万円[2]シールド工、流入施設(薬液注入)、到達立坑、流出施設(落差工)
【大規模特定河川事業(補助)】
〈宇都宮土木〉
▽姿川(大谷)(宇都宮市)=[1]1000万円[2]用地測量
〈鹿沼土木〉
▽武子川(鹿沼市)=[1]500万円[2]地下水調査、用地借地
〈栃木土木〉
▽巴波川(栃木市)=[1]8700万円[2]掘削、排水樋管、水路詳細設計
▽杣井木川(小山市)=[1]4億8000万円[2]用地買収、物件補償、用地調査
〈安足土木〉
▽旗川(足利市)=[1]7000万円[2]掘削、用地買収、物件補償、地下水調査
▽名草川(足利市)=[1]1000万円[2]用地買収
【安全な川づくり事業(防災・安全交付金〔重点〕)】
〈宇都宮土木〉
▽田川(宇都宮市)=[1]10億5000万円[2]河道掘削、調節池整備(掘削、周囲提)、用地買収、地下水調査)
【安全な川づくり事業(防災・安全交付金)】
〈河川課〉
▽県内=[2]水文観測、長寿命化計画
〈宇都宮土木〉
▽武名瀬川(上三川町)=[2]7号町道橋迂回路撤去、掘削、護岸
〈鹿沼土木〉
▽武子川(仁神堂)(鹿沼市)=[2]物件補償
〈栃木土木〉
▽思川(乙女網戸)(小山市)=[2]掘削
▽巴波川(大町)(栃木市)=[2]用地買収
▽永野川(栃木市)=[2]用地買収
▽杣井木川(効果促進)(小山市)=[2]物件補償
〈矢板土木〉
▽江川(鳥山)喜連川(さくら市)=[2]掘削
〈大田原土木〉
▽鹿島川(大田原市)=[2]雨水管渠付替
〈烏山土木〉
▽荒川(三箇)(那須鳥山市)=[2]掘削
〈安足土木〉
▽秋山川(佐野市)=[2]掘削、築堤、護岸、物件補償
▽菊沢川(船津川町)(佐野市)=[2]河道詳細設計
▽矢場川(足利市)=[2]用地買収
▽姥川(足利市)=[2]用地買収
▽尾名川(足利市)=[2]測量

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