仙台北部への道路必要 工業団地に通える環境を(渥美宮城県 東松島市長が会見)
[2024/5/9 宮城版]
先月の市長選で3回目の当選を果たした渥美巖東松島市長は、定例記者会見で3期目の抱負を述べた。ハード事業では半導体関連企業の受け皿となる産業用地の造成や、新たな住宅地の開発、道の駅東松島と三陸自動車道下り線の矢本パーキングエリア(PA)を結ぶ連絡通路の整備、石巻港と仙台北部中核工業団地を結ぶ道路の整備などに意欲を示した。
市長選後の定例記者会見は2日に開いた。渥美市長は人口減少対策を最大の課題に挙げ、「働く場所をしっかり創造していくことが大事で、企業誘致に力を入れる」と表明。さらに安価な住宅地を提供して若い人や女性などに定住してもらうため、住宅用地の整備にも注力する意向を示した。
住宅用地の確保に向けては、JR仙石線や三陸自動車道、国道45号といったアクセス手段を最大限に生かすため、沿線の矢本地区、赤井地区、大曲地区で市街化区域を拡大していくとした。
具体的な動きとしては、柳の目南工区であいホーム(富谷市)が民間開発により80戸程度の住宅提供を計画していることや、小野地区の市営牛網別当住宅跡地で民間開発により20戸程度の宅地開発を想定していることを説明。柳の目南工区の宅地提供は「今年中にスタートできればよい」とした。このほか、矢本駅周辺や市民体育館周辺での市街地拡大に言及した。
産業用地は、県が半導体の企業誘致を進めていることから、市内にも半導体関連企業の受け皿となる場所を確保する必要があるとし、民間開発による造成が視野に入っていることを明かした。
候補地は三陸自動車道のインターチェンジに近い土取り場跡地で、1~2カ所に絞って検討を進めていると説明。仙台北部中核工業団地に立地する企業の関連会社などの受け皿とする考え。
さらに渥美市長は、石巻港から仙台北部中核工業団地に通じる道路について、石巻市と連携しながら整備を進める方向で検討していることを表明。この道路は東松島市や石巻市から同工業団地に通勤できるようなルートが望ましいとし、「高盛土道路でもよいからそういう道路を造り、沿岸部の人口減少を抑えていきたい」と意気込んだ。
三陸自動車道下り線の矢本PAと、上り線側にある道の駅を結ぶ連絡通路に関しては「一番の課題にしている」と発言。下り線の矢本PAは、石巻市・気仙沼市・釜石市方面に向かう大型車両が時間調整のために夜に多く停車しており、トイレやコンビニが24時間利用できる道の駅への移動を容易にするためにも、連絡通路が必要とした。
実現に向けては三陸自動車道の機能強化として整備できるように国会議員や国土交通省に要望していると明かした。
JR矢本駅の南北を結ぶ連絡通路に関しては、JRと協議し、駅舎の改修・改築も含めて整備を検討している段階とした。連絡通路の整備はこれまでの試算だと30億円程度かかる見込みのため、保留の状態と説明。必要性は認めつつも「問題は財源の見通しがつくかどうか」と述べた。