熊本地震で点検前倒し 県内8トンネル早期修繕 道路メンテ会議(東北整備局や県ら)

[2016/7/14 宮城版]
 東北地方整備局や県らは13日、県庁で本年度第1回目の宮城県道路メンテナンス会議を開いた。県内各市町村の道路管理担当者らが出席し、熊本地震を踏まえ、緊急輸送道路をまたぐ跨道橋の点検を前倒しで進めることなどを確認。27年度の点検結果では、県内のトンネル12本のうち、8本が早期に措置を講ずべき状態であることが判明した。

 会議では仙台河川国道事務所の松居茂久所長が「メンテナンスは予算と技術力が大きな柱となる。国の予算は大規模更新に対する個別補助制度が整ってきた。一方で県を中心とした一括発注も根付いてきている」との認識を表明。メンテナンス会議での意見交換が「今後の道路行政にしっかり役立てばよい」と話した。

 県内の道路構造物について点検状況を見ていくと、27年度の橋の点検結果は表の通り。早期に措置を講ずべき状態の判定区分IIIが160橋で、点検した2511橋の約6%を占める。これらの橋は、基本的に次回点検の5年後までに修繕する。

 最優先での点検が必要な緊急輸送道路をまたぐ跨道橋は、37橋を点検し、うち1橋がIII判定、24橋が予防保全段階のII判定、12橋が健全なI判定を受けた。

 このほか、最優先で点検すべき跨線橋は30橋を点検し、6橋がIII判定、緊急輸送道路を構成する橋は398橋を点検し、58橋がIII判定となっている。

 県内のトンネルに関しては、数が少ないので点検実施率に問題はないが、全体に占めるIII判定の割合が多くなっており、早急な対応が必要といえる。スノーシェッドやボックスカルバートなどの道路付属施設は、143カ所を点検し、III判定が40カ所の状況だ。

 27年度に点検した橋、トンネル、道路付属物の全てで、緊急に措置を講ずべき状態のIV判定は一つもなかった。

 28年度の点検では、緊急輸送道路をまたぐ跨道橋について、これまで全体の9%を点検する計画だったが、熊本地震を踏まえて35%まで前倒しで点検することにした。

 この結果、28年度の点検計画数は、橋が2813橋で、うち緊急輸送道路をまたぐ跨道橋が109橋、跨線橋が37橋、緊急輸送道路の橋が587橋。トンネルは21本、道路付属物等は144カ所を点検する。

 メンテナンス会議ではこのほか、熊本地震による被害状況を確認。熊本県と大分県の緊急輸送道路で、速やかに機能を回復できなかった橋が12橋あったことから、今後に耐震補強の加速化が必要との認識を共有した。併せて、ロッキング橋脚を持つ橋が落橋したことから、同じような構造の橋を適切に補強、または撤去することにした。

 会議に出席したNEXCO東日本東北支店の職員からは「熊本地震で高速道路をまたぐ跨道橋の被害が起きた。今後は、オーバーブリッジの耐震対策や撤去を推進してほしい」という要望が出された。

■県内道路橋の点検結果

管理者 点検実施数 判定区分I 判定区分II 判定区分III 判定区分IV
国土交通省 119 46 53 20 0
高速道路会社 55 17 36 2 0
都道府県 329 29 249 51 0
市町村 2,008 260 1,661 87 0
合計 2,511 352 1,999 160 0

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