構造検討を来月委託 復興の橋 デザイン絞り込みへ(南三陸町)

[2016/12/13 宮城版]
 本吉郡南三陸町は、志津川地区の八幡川に架ける復興の橋(港橋)について、より詳しく構造解析を進めるため、年明けに詳細検討業務を委託する。同橋はデザインコンペで二つのデザイン案が優秀作品に選ばれており、詳細検討業務で一つのデザインに絞り込む。当初は近代設計(東北支社・仙台市若林区)に委託した概略設計検討業務で1つに絞る予定だったが、より複雑な解析手法が必要となったため、改めて検討業務を委託する。

 港橋は、震災津波の被害を受けたため、志津川地区の新たなまちづくりに合わせて、現橋の近くに人道橋として架け替える。現橋の撤去時期が定まっていないため、新橋の架設時期もまだ明らかになっていない。

 新橋の架設にあたっては、昨年にデザインコンペを開催し、215点の応募作品の中から、審査を経て森創太氏・蜷川結氏(nmstudio)の作品と、堀越一希氏(東京理科大学大学院)の作品をそれぞれ優秀提案に選んだ。

 森氏らの作品は、海に向かって弧を描く橋のデザインで、三日月のような形状が特徴。周囲一帯を見渡せる橋の中心には、多くの人が集まれるイベント空間を確保する。構造はスプラット付きPC箱桁で、基礎は支持杭を用いることにしている。

 堀越氏のデザインは、むきだしの骨組みが津波に逆らって立ち続けている姿をイメージしており、町内に到達した高さ15.9mの波を表現。構造はワーレントラスの単純桁だが、RC造のフィーレンディールやPC造のアーチ構造も組み込むことになっている。

 近代設計に委託した概略設計検討業務では、構造設計や河川条件のチェック、優秀デザイン2案の比較検討などを実施。結果として複雑な解析手法を用いないと正確な解析ができないと判明したため、一つへの絞り込みは先送りとなった。同業務の履行期限は今月末。

 町は改めて詳細検討を進めるため、12月補正予算案に委託費として600万円を計上した。同社に随意契約で委託する可能性もある。詳細検討では、デザインコンペで審査委員を務めた東京大学の隈研吾教授らにも意見をうかがい、デザイン案を絞り込む。その後は、架設の詳細設計を委託することになる。

 志津川地区の八幡川には現在、隈教授がデザインした中橋の架設に向けた下部工工事が進められている。こちらは橋長80.6mのパイプトラス橋で、やはり人道橋となる。町は27年度の9月補正予算で、中橋の上部工工事費に限度額5億2000万円の債務負担を設定したが、まだ発注に至っていない。

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