水道など事業連携プロポ 日本総研を特定 コンセッション導入検討(県企業局)

[2017/5/10 宮城版]
 水道など公営3事業の官民連携を目指している県企業局は9日、手続きを進めている公募型プロポーザル2件の特定結果を公表した。「みやぎ型管理運営方式導入可能性等調査業務」の受託候補者に、日本総合研究所(東京都品川区)を特定。「上工下水デューディリジェンス調査業務」の受託候補者に、あずさ監査法人(東京都新宿区)を特定した。両社とは今月中に委託契約を結ぶ方針。公営3事業の官民連携に向けて、本年度は事業スキームの検討や資産調査などを進めていく。

 企業局は所管する広域水道事業、工業用水道事業と、土木部が所管する下水道事業を一体化し、民間企業と連携して3事業を運営することを検討している。構想の実現に向けてプロポーザル2件の手続きを進めた結果、「みやぎ型管理運営方式導入可能性等調査業務」は日本総合研究所(日本総研)を受託候補者に選んだ。

 同プロポーザルには4月4日の参加表明書提出期限までに、数社が書類を提出。4月13日の選定委員会でヒアリングなどを行った結果、日本総研の提案を最優秀と決めた。県は同社から改めて見積もりを取り、今月中に正式契約する意向だ。予定価格は4333万3000円(税込)となっている。

 広域水道事業、工業用水道事業、下水道事業は市民生活に欠かせない公営事業ではあるものの、近年では人口減少などの影響で収益性が下がっている。さらに、保有する管路や浄化施設などの老朽化が進み、維持管理費が増加。安定的な運営をする上で、課題が山積している。

 県は現状打開に向け、従来の業務委託や指定管理とは異なる方法で民間企業と連携し、民間ノウハウを生かして3事業を運営していくことを目指している。それがみやぎ型の「コンセッション方式」だ。コンセッション方式では県が水道管や浄化施設などの所有権を持ちながら、運営権を取得した民間企業が事業を行う。事業を通じて収益を得た民間企業は、その対価を県に払う。民間企業は収益拡大に向けて、民投資家から投資を受けたり、設備投資してサービス向上を図っていく。

 日本総研にはコンセッション方式の実現に向けて課題を洗い出してもらい、コスト削減策や導入効果の具体的な検討を委託する。合わせて、官民が連携する場合の役割分担やリスク分担など、事業スキームも検討してもらう。履行期間は30年2月28日まで。

 同局は本年度、コンセッション方式の導入検討や保有するインフラの資産価値、財務情報などを整理する。それらの調査検討結果を踏まえた上で、30年度には事業の実施計画策定や、民間と連携して公営事業を運営するための条例制定など法整備に着手する方針。連携する事業者の選定は、31年度以降になると見られる。現時点でコンセッション方式での事業運営は、32年度以降を予定している。

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