校舎新造に50億円概算 新設小学校の基本計画(流山市)

[2018/5/23 千葉版]
 流山市教育委員会がまとめた、今後の児童増が予想されるつくばエクスプレス沿線の、大畔(おおぐろ)地区への新設小学校の新造に伴う基本計画が明らかになった。基本計画の策定から基本設計、実施設計の策定までは、29年度にプロポーザルで選定された日本設計(東京都新宿区)が担当。整備方針としてピーク時の学級数を47学級と想定し、校舎や屋内運動場に必要な規模を延べ約1万3,700平方m、これらの建設費に約50億円をそれぞれ概算している。

 設計業務については、基本計画の策定を受けて基本設計に移行。今年度後期には実施設計に進む見通しで、31年度の前期にも造成工事、同後期には建築工事に着手し、33年4月の開校が目指されている。

 基本計画の策定に当たって市では、市民参加型のワークショップを29年12月からこれまで4回にわたって開催。校舎の配置のほかビオトープや中庭の有効活用などについて話し合われた。進行中の基本設計案については、30年度前半にもパブリックコメントを実施する予定でいる。

 このうち校舎の配置については、南北向きの校舎で全て3階建てとし、南東側にまとめて配置するA案と、3階建てで南と西に分かれるB案、1、2、3階建てが混在し、校舎をまとめて南側に配置するC案、南北向きに校舎を配置し、校庭の余剰が少ないD案の4案が比較材料として提案されている。

 整備方針については、木造、RC造、S造による3階建てを基本に、33年度には23学級、35年度には35学級を想定(ピーク時47学級)。付帯施設としてプールのほか、学童クラブに延べ約1,000平方mを配置。用地取得費や造成費、外構工事費、設計費、工事監理費、エアコン設備設置費、厨房設備設置費などを除いた校舎と屋内運動場、給食室、プール、学童クラブの建設費約50億円のうち、約12・2億円の補助を見込んでいる。

 その校舎の建設はI期、II期に分ける考えで、I期工事は35学級規模で計画、II期工事は38年度にピークが予想される47学級に備え、最新の児童推計に応じて適切な規模・時期に実施するとした。

 計画地は大畔地先の市街化調整区域にある約2万6,000平方mで、現況の地目は主に畑。有識者を交えての市民向けワークショップでは、学校に「木」を使うことについての効果についての説明があったほか、グラウンドへの日照や教室への採光、職員室から校門やグラウンドが見える配置、地域利用のしやすい体育館の配置について議論が交わされたという。

 施設構成についても、学年ごとに発達段階に応じた生活圏の形成のため、同一学年または低・中・高学年でまとまりのある配置とするほか、特別教室や管理教室のまとまり、地方に解放されるゾーンのまとまり、防災面でのまとまりを図る方針だ。

 このほか多目的ホールについては児童の発表や交流の場として活用できる空間とするとともに、体育館は式典などにも使える1900人ほどの児童が着席できるスペースを持たせる。プールは屋外型として最低25m×6コース、最大25m×10コースの設置を検討。校庭は200mトラックが配置可能な規模とするとともに、外周部には鉄棒や雲梯など運動に使える機能のものを配置するなどとした。

 コスト縮減に向けては、校舎全体を木造とRC造の分棟による構成として検討。木造部分は主に3階建てとし、隣り合うRC造で水平力を負担するなど、合理的な構造計画によりイニシャルコストを低減。RC造の耐火構造コアによる防火区画で、合理的な構造計画と防耐火区画を両立させる。

 また、構造用木材は流通量の多い小断面の規格材の組み合わせ、またはエンジニアリングウッドによる中断面長尺材を用いた架構で構成。木架構の接合部のディテールを統一化し、施工性や工期の短縮を図ることを検討するとなどとした。

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