野鳥観察舎を建替え 9月補正予算に設計費計上(市川市)

[2018/9/20 千葉版]
 市川市は、かつて県が整備・運営し、今年4月に廃止された行徳野鳥観察舎(福栄4-22-11)について、既存施設を解体した跡地利用として、新たに市が野鳥を観察できる施設を建設することを計画、県に提案している。村越祐民市長が定例会見で明らかにしたもので、開会中の市議会9月定例会に提出された一般会計補正予算案に、設計委託料1,400万円を計上するとともに、繰越明許を設定しており、予算が確保できれば設計の委託手続きを進める考えだ。

 昭和54年12月に県によって開設された行徳野鳥観察舎は、県民に対し自然に親しみながら、野鳥の生態に触れる機会を提供することにより、県民の教養の涵養や、レクリエーションの提供を目的に設置されたもの。

 既存施設はS造3階建て延べ605・78平方mの構造・規模。敷地面積は1,320・88平方mで、建築面積は321・51平方mとなっている。2、3階の観察スペースには、行徳湿地を一望できる計44台の望遠鏡が備えられており、学校の1学級全員が一度にガラス越しに観察できたほか、野鳥に関する資料の展示コーナーなども設けられていた。

 平成27年6~10月に県が実施した耐震診断で、最小の構造耐震指標値(Is値)が0・11という、基準となる0・6を大きく下回る結果となったことを受け、県は利用者の安全を考慮、27年12月末で施設を休館とすることを決めた。

 県では施設の継続使用には耐震改修に加え老朽化などから大規模修繕が必要なこと、エレベーターがないなどバリアフリー化が必要なことのほか、利用者数がほぼ横ばいであること、移譲への協議に当たり市が引き受ける意向を示さなかったことなど、施設に隣接する行徳湿地は今後も県が管理を継続していくものの、野鳥観察舎については広域的な利用の観点や、老朽化などの問題から、県の施設として維持する必要性が低いと判断。廃止することを決めた。解体工事の入札も済ませている(結果は未公表)。

 施設開設時から17年度まで県から業務委託を受け、18年度から26年度までは指定管理者として同施設を管理していた市川市は、跡地の活用としてあらためて野鳥の観察施設の整備を計画。規模として既存施設より少し小さい延べ400平方m程度を想定しているといい、今後建設場所の扱いなどについて県と協議するとともに、施設に持たせる機能なども検討。32年度早期の供用開始を目指したいとしている。

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