政策目標に5案掲げる 物流活性化、機能分担など加味 仙台東道路の計画段階評価(東北整備局)

[2018/11/1 宮城版]
 社会資本整備審議会道路分科会の東北地方小委員会(委員長:浜岡秀勝秋田大学理工学部教授)が10月31日、東北地方整備局がある仙台合同庁舎B棟で開かれた。仙台市東部地区に建設が計画されている仙台東道路について、1回目の計画段階評価を行った。仙台市東部地区の道路交通網の現状や課題を、東北地方整備局が委員らに説明した。整備に関する政策目標案として、5つの目標案が示された。
 東北地方小委員会には大学教授をはじめとする学識経験者、東北地方整備局の阿部悟道路部長、仙台河川国道事務所の奥田秀樹所長らが出席。仙台東道路の整備に関し、計画段階評価として学識経験者から意見を聞いた。
 仙台東道路はJR仙台駅を中心とする市街地と、仙台港背後地とを結ぶ地域高規格道路として、平成6年に計画路線に指定されている。宮城県と仙台市は8月、早期の事業着手を求めて国に要望活動を行っている。
 同小委員会ではまず、仙台市東部地区の交通事情について、整備局が説明した。同地区には物流や産業拠点である「卸町」や「原町東部」があり、大型車を中心に仙台市中心部または仙台港方面への交通量が年々増えている。そのため、渋滞がたびたび発生し、道路機能として速達性や定時性が損なわれていることなどが報告された。
 それらの現状と課題を踏まえた上で、整備局は政策目標案に▽仙台市東部地域の交通容量不足の解消▽道路ユーザーのニーズに応じた道路の適切な機能分担▽物流交通に対する円滑な分散・導入による物流活性化▽仙台駅と高速道路網の交通結節機能の強化▽非常時における広域防災力の機能確保──の5つを掲げた。
 仙台東道路の具体的なルートはまだ示されていないが、整備局は今回、「整備される可能性がある区間」として、仙台東部道路・仙台港インターチェンジ付近から西側に向かい、仙台西道路の出入り口がある仙台駅西側付近までの区間を示した。区間内には国道45号や県道23号仙台塩釜線(産業道路)が東西に通っている。その間には産業拠点の卸町や原町東部があるほか、宮城県が宮城野原に建設を計画している広域防災拠点などがある。
 委員からは仙台東道路の整備に関し、東部地区から西部地区への通過交通の流入を避ける上で「仙台東道路と西道路を連結して整備する」案が出された一方、西道路と直接つなげるのではなく、中心部の交通機能を維持するために「環状線を整備し、それを介して西道路につなげる」案などの意見が出された。
 整備局では今後、対象地域に住む住民や経済団体、消防、医療機関などを対象にアンケート調査を行う方針。そこで得た意見をもとに、2回目の小委員会を開く予定。今のところ開催時期は未定だが、2回目の小委員会では概略ルートや構造などが示されることになりそうだ。

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