緊急提言~専門知識ある組合員の活用を 適正・安全な解体工事に貢献(千葉県解体工事業協同組合・小松隆弘理事長)

[2019/1/31 千葉版]

小松理事長

小松理事長

 解体工事業の許可業種新設に伴い、解体工事業を営む建設業者は本年6月以降、解体工事業の許可が必要となる。そうしたなか、解体という特殊工事の専門家集団である千葉県解体工事業協同組合(千葉市中央区)の小松隆弘理事長は「組合員の積極的な活用が必要だ」と訴える。その理由を聞いた。

 国土交通省は2014年6月、建設業法の一部を改正した。建設業法の許可業種区分を約40年ぶりに見直し、とび・土工工事業に含まれていた解体工事業を分離独立させて、新たな工種として指定した。この経過措置により、本年5月まではとび・土工工事業の許可で解体工事を請け負うことができ、これの終了する6月以降は、解体工事業の許可が必要となる。

 新設の背景は、建築物の老朽化によって、解体工事の重要性が高まってきたことにある。実務経験や資格のある技術者を配置することで災害事故を防止し、環境に配慮した適正な施工を進めることが狙いだ。

 千葉県解体工事業協同組合は、解体工事業を県内で営む43社の正会員と、建機メーカーや産業廃棄物処理業者らの賛助会員39社、技術や法改正などの情報を共有するネットワーク会員15社で組織している。技術の向上を図るための各種講習の開催や研究、解体工事の共同受注、資材の共同購入、指定教育機関としての技能講習を主な業務としている。清掃ボランティアなどの社会貢献活動にも力を入れている。

 ──解体工事業の許可が必要になると、どう変わりますか

 「これまで解体工事を専門にしていた業者に加え、他業種からの参入が増えることが予想される。これまで、専門家集団として蓄積してきた知識や経験を発揮することが難しくなると、法改正の目的である適正な施工と安全の確保に逆行する恐れがある」

 ──解体工事には環境面で配慮することも多いですが

 「組合では、各種の講習会や勉強会を通して、法令遵守を徹底している。全組合員とも、解体工事用の機械やアタッチメントを自社所有し、高度な専門知識で適正な処理を行っている。木くず・ガラス・廃プラ・陶器くずそれぞれ、適正な処理ルートを確保しているので、間違っても不法投棄はあり得ない」

 ──不法な業者によるダンピング受注が心配です

 「環境面、安全な施工、リサイクル、適正な処理などにはコストがかかることを理解いただきたい。アスベストを調査するだけでも費用はかかる。きちんと調査をして見積もらない業者は、適正な処理ができているのか心配だ。あとから、契約トラブルになったという話も聞く。組合員には、そのような心配は必要ない。空き家の解体工事を組合の加盟業者に依頼するよう紹介してくれる自治体も増えている」

 ──今後の活動方針は

 「ごみ拾いのボランティア活動や各種講習会、9都県市合同防災訓練への参加、市町村の空き家対策に加え、組合への参入を促し、これまで以上に、適正で安全な解体工事に貢献したい。そのために、門戸を広げていく考えだ」

 ■プロフィール
▼小松 隆弘(こまつ・たかひろ)
千葉県解体工事業協同組合理事長=昭和33年2月12日生まれ、小松土建(山武郡九十九里町)代表取締役。県建設業協会山武支部副支部長、県管工事業協同組合連合会副会長、山武管工事業協同組合代表理事、県中小企業団体中央会理事を兼任。

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