青葉の森公園に新築 新県立図書館 基本計画の原案(県教育庁)

[2019/6/12 千葉版]
 県教育庁生涯学習課がまとめた「新県立図書館等複合施設基本計画」の原案が11日、明らかになった。12日からはパブリックコメント手続きにより、7月2日まで意見を募集する。2018年1月にまとめた基本構想に基づき、現在の県内3館体制を1館に機能集約するとともに、県文書館など類似施設との複合化も検討する。同原案では新たな施設の建設場所として、千葉市中央区の県立青葉の森公園内(はらっぱ付近)を想定。規模として延べ約1万7,000平方m、約15万冊を開架する計画だ。

 目指す図書館像として同原案では▽県内図書館の中枢としての役割▽子どもの読書活動の推進▽課題解決支援図書館▽県に関する資料や情報の蓄積・継承▽知の創造と循環を生み出す公共の場──という5つの役割を持たせた上で、施設整備の方向性には、3館を1館に集約することと、複合化の可能性を検討するとした。

 施設・設備についての基本的な考え方として、新しい県立図書館・県文書館は「文化情報資源を扱う機関との幅広い連携が実現可能な場所」に整備し、県の新たな知の拠点にふさわしい、文化情報資源が集まる象徴的なエリアの形成を目指すとした。

 立地についてはまた▽文化情報資源を扱う他の機関および県庁から近隣▽県立図書館による市町村支援という観点から物流面での利便性▽公共交通機関や自家用車などさまざまな手段で来館しやすい▽災害の影響を可能な限り低減できる▽施設整備に当たり用地の確保が容易である──こととした。

 県では現在地と千葉みなと地区(NHK千葉放送局の隣接地)、県立中央博物館のある青葉の森公園の3カ所を比較検討し、県立青葉の森公園内への新築が妥当だと結論付けるとともに、新施設の建設により、公園の活性化が期待できることの理由などから、公園内のはらっぱ付近の敷地約1万8,500平方mとした。

 原案によると、新施設は利用エリアと保存エリア、業務エリア、その他に区分けし、利用エリアは開架・閲覧、貸出カウンター、大型資料閲覧席、対面朗読室、授乳室、研修室、展示室、貴重資料、公文書、古文書等各閲覧スペースなどを配置。保存エリアには図書館の205万冊と文書館の50万冊を所蔵し(公文書換算)、自動化書庫の導入で延べ床面積を縮減させる。

 このほか館長室や事務室、市町村支援室、会議室などの業務エリア、県史の紹介や広報コーナーのあるエントランスホールや休憩スペースなどを置く方針だ。

 基本計画の策定支援業務は図書館総合研究所(東京都文京区)が担当。18年度には有識者らによる「新たな『知の拠点』づくり有識者検討会議」(主査・竹内比呂也千葉大学文学部教授)を設置し、盛り込む機能など主にソフト面の検討を重ねていた。

 1968年の建設で築50年以上が経過するなど老朽化するとともに、増築が重ねられた中央図書館(地下2階地上5階建て延べ6,171平方m)は、先の調査で耐震補強が困難と判定されており、3館の合計延床面積約1万3,000平方mを上回る規模の建物が必要だと見込まれていた。

老朽化や狭あい化、耐震性の不足が指摘されていた現在の県立中央図書館

老朽化や狭あい化、耐震性の不足が指摘されていた現在の県立中央図書館

 また、図書館との複合化が示された現在の県文書館は、中央図書館から分離する形で、88年に建設。RC造6階建て延べ6,009平方mの構造・規模で、設備の老朽化のほか、書庫の収蔵率が約8割に達するなど、将来的な資料保管スペースの確保が課題になっていたという。

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