復旧・復興指針を改訂 河川整備など状況報告 県が本部会議

[2020/9/9 千葉版]
 県災害復旧・復興本部会議が8日、県庁で開かれ、2019年の房総半島台風や東日本台風、10月25日の大雨の復旧・復興に関する指針の改訂案が了承された。このほか、各部局庁が河川整備や災害廃棄物などの進ちょく状況を報告。本部長の森田健作知事は幹部職員に対し、「これまでの経験を生かして、県民のために尽力してほしい」と求めた。

 県は、復旧・復興に関する指針で▽被災者の一日も早い生活と暮らしの再建▽農林水産業や商工業など地場産業の力強い復活▽オール千葉で災害に強い千葉県づくり──を基本的な考え方に掲げ、各種施策に取り組んできた。

 改訂された指針では、発災から約1年を迎えることから、これまでの復旧・復興に向けた実績や進ちょく状況をとりまとめ、その内容を追記したほか、事業の工程表を見直している。

 復旧・復興の進ちょく状況をみると、一宮川では、今回と同規模の降雨に対して今後10カ年で家屋や主要施設の浸水被害ゼロを目指す「一宮川流域浸水対策特別緊急事業」を進めている。

 印旛沼では、水資源機構や関係自治体、利水者と協議し、予備排水開始の基準となる予測総雨量を引き下げることとし、6月から新たな運用を開始している。

 道路法面対策では、緊急輸送道路をはじめ、生活の安全に直結する箇所を優先して整備している。老朽化した法面の補修や土砂崩落対策など、19年度は19カ所で工事を実施し、8カ所が完了。引き続き、残る11カ所で工事を進めていく。

 浸水想定区域図については、5月末までに26の水位周知河川全てで公表。市町村が早期にハザードマップを作成できるよう支援している。既存の水位計を補完する危機管理型水位計を、水位周知河川など27河川34カ所に設置し、6月1日から運用を開始した。

 土砂災害警戒区域の指定については、出水期前の5月末までに指定率は目標を上回る53%となった。21年5月末までの指定完了を目指している。

 住宅被害については、災害救助法(応急修理)による助成と併せ、県独自の支援制度「被災住宅修繕緊急支援事業補助金」により、申請2万4285件に対し、工事完了は1万5278件。住宅の復旧は進んでいるものの、被害の大きかった安房地域を中心に、いまだ応急的な措置が継続している家屋もあることから、市町村と連携して支援する。

 災害廃棄物については、7月末時点で片付けごみの仮置場への搬入が全て完了。仮置場から処理施設への搬出は、35市町村のうち34市町村が完了している。32市町で被災家屋の解体作業が進められており、このうち10市町が完了した。21年3月までの処理完了を目指す。

 被災農業施設等復旧支援事業では、約7600件の事業計画を承認し、約3700件の農業ハウスなどの復旧が完了している。今後は残る工事を加速化するため、講義や実地研修などを開催する予定だ。

 県中小企業復旧支援事業では、724事業者から約25億円の補助申請があり、8月末時点で205件、約4億7000万円を交付決定。年度内の完了を目指し、補助金交付の手続きを進めていく。

 県は7月30日、道路上の倒木除去や相互連絡体制の構築、医療施設など重要施設への電源車の優先配備、平時における計画的な樹木伐採の連携について、東京電力パワーグリッドと協定を締結。併せて、停電などの未然防止に向けて、予防伐採について引き続き協議を進めていく。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.