倒壊防止策を検討へ 市庁舎 整備方針の基礎資料(銚子市)

[2020/11/5 千葉版]

優先的に整備方針を検討する市庁舎

優先的に整備方針を検討する市庁舎

 銚子市は、市庁舎倒壊防止策作成支援業務を構造品質保証研究所(東京都港区)に委託した。耐震性の不足が指摘されている市庁舎(若宮町1-1)の整備方針を優先的に検討するため、その基礎資料として、具体的な改修工法を提案、概算工事費を算出してもらう。履行期限は11月30日まで。

 市内にある特定建築物のうち、市庁舎と青少年文化会館は、耐震性不足が明らかになるなど、安全性の確保が課題となっている。休館している文化会館は、必要最小限の耐震対策を施し、21年度からの再開を目指す方針だったが、昨年10月に完了した調査の結果、利用者の安全性を確保するためには、大ホールロビーの耐震化、吊り天井の落下防止、天文台の撤去の耐震対策などに7億円余の経費が必要と試算された。

 文化会館の長寿命化には、想定を超える多額の費用がかかることから、市では、市庁舎など他の公共施設のあり方や複合化も含めて、整備優先順位を検討することが必要と判断。当初予算では、主要公共施設適正化基本方針策定委託料として322万円を計上していた。

 市庁舎については、2011年に耐震診断を実施。災害拠点となることを想定し、目標Is値を建築基準法に定める最低基準値0.6の1.25倍にあたる0.75に設定して調査を実施した結果、全ての階で目標値を下回った。高層棟では建築基準法に定める最低基準値0.6を満たしているのが、地下1階のX(東西)方向と8階のY(南北)方向のみであり、震度6強の地震で倒壊する危険性のあることが判明。特に1~7階部分の耐震性能は著しく不足しており、Is値はX方向で0.13~0.21、Y方向では0.20~0.33となった。

 また、県が16年5月にまとめた地震被害想定調査の結果では、房総半島東方沖日本海溝沿い地震(震源・いすみ市南東約75km、深さ約25km、マグニチュード8.2)による同市の最大津波高は8.8mを想定。現庁舎すべての敷地が津波浸水区域外となっている。

 市庁舎は高層棟(中央棟)、議会棟、低層棟(東棟)の3棟で構成。各棟はエキスパンション・ジョイントで接合されている。施設の規模は、高層棟がRC造(一部SRC造)地下1階地上8階建て延べ7543平方m、議会棟がRC造(一部SRC造、屋根部S造)3階建て延べ2436平方m、低層棟がRC造2階建て延べ2202平方m。1975年5月に竣工。元設計は山下設計、元施工は清水・熊谷JVが担当した。

 越川信一市長は、市庁舎について、「危険度からいえば施設整備の優先度が最も高い施設。これまでもさまざな検討を進めてきたが、財政難のために着手できなかったのが実態」と指摘。「さまざまな意見を伺いながら、選択肢を取りまとめ、市としての方向性を見出していきたい」と話していた。

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