メタウォーターのグループ特定 構成員に橋本店ら3社 水道3事業の運営権者(宮城県)

運営権者の選定について、村井知事に答申書を手渡す増田委員長(左)

運営権者の選定について、村井知事に答申書を手渡す増田委員長(左)


[2021/3/13 宮城版]
 宮城県が全国に先駆けて2022年4月からの導入を目指している水道3事業の官民連携運営(コンセッション方式)について、宮城県から運営権者の審査を諮問されていた有識者委員会は3月12日、その結果を村井嘉浩知事に答申した。メタウォーター(東京都千代田区)を代表者とするグループを優先交渉権者に特定した。地元企業3社を含む同グループは、宮城県が要求していた20年間のコスト削減額を大きく上回る事業提案を行い、高く評価された。

 広域水道、工業用水道、流域下水道の3事業を民間企業と連携して運営する「みやぎ型管理運営方式」では、1次審査を通過した3グループが2次審査を受けていた。運営権者の審査は、宮城県民間資金等活用事業検討委員会(委員長・増田聡東北大学大学院経済学研究科教授)が行っていた。

 増田委員長が3月12日に宮城県庁を訪れ、答申書を村井知事に手渡した。併せて、審査の過程などを報告した。

 2次審査に進んでいたのは、メタウォーターのグループとJFEエンジニアリングのグループ、みやぎアクアイノベーション(代表者・前田建設工業)の3グループ。2次審査では収支計画や水質管理、セルフモニタリング、事業費の提案額などを200点満点で審査した。

 その結果、メタウォーターのグループは170.41点を獲得し、優先交渉権者に特定された。次点は156.33点を獲得したみやぎアクアイノベーションだった。JFEエンジニアリングのグループは、評価項目の中で評価が最も低い「標準未満」と判断された項目があり、失格となった。

 審査結果を講評した増田委員長は、メタウォーターのグループの提案で「構成員が共同出資し、宮城県内に運転・維持管理を担う会社を設立する」との内容を高く評価したと述べた。地元の雇用を創出し、20年間の事業期間を終了した後も、設立した会社が地域の水道事業を担っていける仕組みが評価されたようだ。

 メタウォーターのグループは10社で構成され、地元企業では橋本店(仙台市青葉区)、復建技術コンサルタント(同)、産電工業(仙台市若林区)の3社が属している。3グループのうち、地元企業が入っているのはメタウォーターのグループだけだった。

 同グループが提案した20年間の事業費は1563億円。宮城県が単独で運営している現状より、20年間で287億円のコスト削減が見込まれる。運営権者の選定に際し、宮城県が要求していた197億円のコスト削減を大きく上回り、村井知事は「大きなコスト削減は水道料金の値下げにつながり、受益者の負担軽減になる」と喜びを表した。

 優先交渉権者に特定された同グループは今後、特別目的会社を設立する予定。宮城県は運営権を設定する議案を、宮城県議会6月定例会に提出する方針だ。

■ 水道3事業の官民連携運営 運営権者の選定結果
応募者と構成員 評価点
(200点満点)
20年間の事業費
(うち、下水道改築額)
20年間の
削減額
最優秀 ●メタウォーターグループ 170.41点 1563億0000万円
(260億0000万円)
287億円
   代表者 : メタウォーター
構成員 ・ヴェオリア・ジェネッツ ・日立製作所
・オリックス ・日水コン
・メタウォーターサービス ・東急建設
・復建技術コンサルタント ・橋本店
・産電工業
次点 ●みやぎアクアイノベーション 156.33点 1389億0000万円
(250億4000万円)
460億円
   代表者 : 前田建設工業
構成員 ・スエズウォーターサービス ・日本工営
・東芝インフラシステムズ ・東急
・日本管財環境サービス ・NTT東日本
・月島テクノメンテサービス ・月島機械
失格 ●JFEエンジニアリングのグループ ――― 1538億0000万円
(264億9000万円)
311億円
   代表者 : JFEエンジニアリング
構成員 ・ウォーターエージェンシー ・東北電力
・日本政策投資銀行 ・明電舎
・三菱商事 ・NJS
・水ingAM

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