民間活力の導入調査 大島亀山の園地再整備(宮城県気仙沼市)

[2021/3/27 宮城版]
 気仙沼市は、大島の亀山山頂にある園地をリニューアルすることに伴い、民間活力導入の可能性調査業務を委託する。本年度の2月追加補正予算では、同業務の委託費に686万円を確保。担当課の観光課は、予算を繰り越して新年度に競争入札かプロポーザルで委託する考え。同業務ではPFIやPPPなどといった事業手法が導入できるかどうかを検討する。

 亀山は大島の北側に位置する標高235mの山。山頂から唐桑瀬戸や浦の浜などが一望でき、リアス式海岸の美しい景観を眺望できる。山頂の36haは三陸復興国立公園の園地となっており、遊歩道やレストハウス、観光あずまやなどが整備されている。

 既存施設は設置されてから30年前後が経過し、老朽化が進んでいる。大震災以前は、ふもとから山頂までリフトが運行していたが、すでに撤去された。中腹には駐車場があるものの、そこから山頂までは20分ほどかけて歩くことになる。観光シーズンの休日などには、駐車場から山頂まで向かうシャトルバスが無料で運行されている。

 大震災以降は、気仙沼大島大橋が開通し、気仙沼本土と大島が道路でつながり、車の移動が可能となった。三陸道の浦島大島インターチェンジも開通し、大島へのアクセスが一段と向上。亀山のふもとには地場産品の直売所などを備えた大島ウェルカム・ターミナルが整備され、誘客の高まりが期待されている。

 こうした動きを踏まえ、亀山園地を再整備することでさらなる観光振興につなげる狙い。本年度は園地リニューアルの基本構想・基本計画策定業務をパシフィックコンサルタンツ(東北支社・仙台市青葉区)に委託しており、月内にまとめる。

 基本構想・基本計画の策定作業を進める中で、新たな賑わいづくりと、リフトに代わる移動手段が必要という認識が深まった。賑わいづくりとしては、飲食店の整備や、森とアスレチックを活用したアドベンチャー空間の整備などが検討されている。

 園地の再整備に当たっては、施設整備や管理運営などに民間活力が導入できるかどうかを調べるため、内閣府の民間資金等活用事業を使って調査業務を委託する。国の2020年度3次補正予算で同事業の補助金が認められたため、市は委託費を予算化した。

 園地にある既存の観光あずまやは、傷みが激しいため先行して撤去し、跡地に展望テラスを設ける。この工事は「大島亀山展望テラス整備工事」として一般競争入札を開札し、グリーン産業(仙台営業所・仙台市青葉区)が5670万円で落札した。資材運搬用仮設モノレールの設置を含む工事となっている。

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