3連アーチ部を移設 家富町堀込線の中橋工区 県都計審で幅員変更

[2021/11/12 栃木版]

 足利佐野都市計画道路の3・5・102号家富町堀込線(主要地方道足利千代田線)の中橋工区は、足利市の交通の現状および将来の見通しを勘案して交通形態を再検討した結果、幅員を変更する。変更の理由は、高架橋部に自転車・歩行者用の斜路付き階段を設置することや右折車線を設置すること、橋梁部に既存橋梁の3連アーチ部を移設した歩道・自転車道を設置することによるもの。この変更案は、このほど開催された県都市計画審議会に諮られ、原案どおり議決している。

 この路線は、足利市役所に隣接する足利市家富町を起点に足利学校や鑁阿寺の西側を通り、終点である足利市堀込町の一般国道50号に至る延長約3350mの都市計画道路。一級河川渡良瀬川で分断された足利市の南北市街地を結び、都市の骨格を形成する幹線街路として都市計画決定された。今回変更するのは、このうち都市計画道路3・4・1号前橋水戸線交差部から都市計画道路3・5・115号東部駅前線までの、約480m区間になる。 

 区間内の一級河川渡良瀬川に架かる中橋は、昭和10年に架設されて足利市のシンボリックな存在であり、3連アーチの景観は多くの人々に親しまれている。一方で架設から85年が経過し、老朽化による影響で継続的な点検・維持補修が必要となっている。

 さらには、中橋が架かる位置の堤防が切り込まれて前後に比べ低くなっており、洪水が堤防を越える恐れがあるため、重要水防箇所に指定されている。令和元年東日本台風では水防活動のため通行止めになるなど、近年の頻発・激甚化する自然災害に対する安全なまちづくりに向けて、その解消が喫緊の課題となっている。

 また、当該区間にはJR両毛線を横断する宝来社街道踏切があることや、3・4・1号前橋水戸線との交差点で佐野市方面へ向かう右折車が滞留していることなどから、日常的に混雑が発生しており円滑な交通が求められている。さらには、近隣の高等学校に通学する多くの生徒の安全確保のため、自転車と歩行者を分離することなども求められている。

 このため県は、国の堤防嵩上げに合わせて中橋の架け替えを実施する。歩道と自転車道を整備して交差点には右折レーンを設け、JR両毛線交差部は立体化して踏切を除去するなど、安全な通行の確保と渋滞緩和による交通円滑化を図る。

 今回都市計画を変更する区間は、3・4・1号前橋水戸線交差部との平面交差に始まり、JR両毛線、3・6・103号伊勢町渡良瀬橋線を高架で跨ぎ、渡良瀬川を渡河し東部伊勢崎線と交差する計画で都市計画決定されている。

 変更する道路の構造は、左岸側については橋梁部で架け替えにより現在の路面から5m程度上がることになる。これに伴い渡良瀬川左岸からJR両毛線までは高架の構造となり、3・4・1号前橋水戸線で平面交差となる計画。右岸についても、架け替えに伴い路面から4m程度上がり、東武鉄道との交差部付近で現況の道路と同じ高さとなる。

 交差構造は当初の都市計画から変更はなく、幅員のみの変更となる。前橋水戸線側の擁壁の区間は幅の変更はなく、その後の高架橋部は車道の勾配が急になることから、自転車・歩行者の安全確保を図るため斜路付きの階段を設置。これにより、幅員を当初の25mから31.8mに変更する。

 3・6・103号伊勢町渡良瀬橋線を高架で跨ぐ区間は、3・4・106号川崎渡良瀬橋線との交差部に将来の交通量を勘案した右折車線の滞留地を確保するための付加車線を設置するため、幅員を25mから26.4mに変更する。また、安全確保のため自転車と歩道の通行空間を分離させる構造としている。

 渡良瀬川の橋梁部では魅力ある景観を保持するため、既存橋梁の3連アーチ部を下流側に移設して歩道と自転車道として活用することから、幅員を20mから28.5mに変更する。

 なお、堤防嵩上げおよび街路事業は、21年度に用地調査とともに用地取得や準備工事に着手し、用地取得は23年度まで、工事は27年度までの事業期間で計画する。本年度は用地取得と合わせ、現橋の3連アーチを自転車・歩行者専用橋とするため、下流側への移設工事に着手していく見通し。

 総事業費は、県事業の道路に70億円、国の渡良瀬川堤防嵩上げに37億円の合計約107億円を試算する。内訳は工事費が102億円を占め、このほか測量設計1億円、用地補償費4億円となっている。

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