流域治水を実践に 国と県が意見交換 4号BP整備を推進(栃木県事業連絡協議会)

[2022/7/2 栃木版]
 国土交通省関東地方整備局(廣瀬昌由局長)は、2022年度の「栃木県事業連絡協議会」をWEB方式で開催した。整備局や各出先事務所、水資源機構と県をリモートでつなぎ、河川や道路など所管する主要事業について情報の共有や意見の交換を行った。整備局は本年度、21年度補正と22年度当初予算を一体的に執行して、河川事業は流域治水プロジェクトの本格的な実践に取り組み、道路事業は国道4号のバイパス・現道拡幅事業や日光川治防災などを推進すると説明。県からは直轄事業の推進をはじめ、県が実施する事業への支援を求めた。

 協議会には、整備局から小林賢太郎企画部長や家田健一郎建政部長、塩井直彦河川部長ら幹部が顔をそろえた。水資源機構からは野仲典理ダム事業部次長が、県からは坂井康一県土整備部長をはじめ県土整備部の次長、本庁課長らが出席した。
 小林部長は開会にあたり、「24年4月から改正労働基準法に基づく時間外労働の上限規制が適用され、建設現場での働き方改革が待ったなしの状況」として、働き方改革や生産性向上の取り組みに国と地方公共団体が連携して取り組む重要性を強調した。
 坂井部長は、東日本台風で被災した全ての箇所の原形復旧が本年3月で完了したと報告。改良復旧を導入した7河川も「昨年完成した黒川に続き、本年度は思川が完了する予定。残る5河川も早期完了を目指して事業を推進する」と説明し、整備局の支援を求めた。
 議事はまず、整備局から本年度の事業を説明。インフラDXの取り組みは、21年7月に「関東地方整備局インフラDX推進本部」を設置。またロードマップを策定し、AIやデジタルデータ、情報技術などを活用した取り組みで「建設現場の生産性向上」や「働き方改革」を推進している。
 ICT普及では、22年3月に全国初の「中小建設業へのICTの普及促進に向けた実践的な手引き」を策定。今後は管内の自治体や中小企業を対象に、手引き(案)の周知活用や手引き(案)を用いたICTの啓発活動を予定している。
 河川事業は、流域治水プロジェクトで本年度を本格的な実践の年と位置付け、速やかな実施を図る。鬼怒川の流域治水プロジェクトは、鬼怒川と田川の合流部で田川水門を整備し、護岸整備や樋管整備も進めていく。
 那珂川の緊急治水対策プロジェクトは、24年度の完成に向けて堤防の整備や遊水地の整備を実施している。県内では那須烏山市下境地区で霞堤の整備などを計画し、国と県、地元市が参加する連絡会議で協力しながら取り組みを進めていく。
 渡良瀬川に架かる中橋の架替事業は、21年度から特定構造物改築事業に着手した。本年度は引き続き、橋梁の下部工を実施予定と報告した。
 鬼怒川直轄砂防事業は本年度、大谷川や稲荷川流域の砂防堰堤10カ所、床固工2カ所、山腹工5カ所の計17カ所で整備を行う。日光砂防事務所では、法面対策工事に3次元データを活用する取り組みも進めている。
 道路事業は、国道4号のバイパス・現道拡幅事業を説明。矢板拡幅は23年度の前岡地区改良工着手に向けて、引き続き調査設計や用地買収を推進する。矢板大田原バイパスは調査設計を進め、23年度にも土屋地区の用地買収に着手する。
 西那須野道路は、調査設計や用地買収、改良工事、電線共同溝工事、歩道橋工事を実施しており、さらに本年度は烏ヶ森公園歩道橋の着手を予定する。直轄権限代行で19年度に事業化した国道121号日光川治防災は、引き続き調査設計を実施する。
 建設キャリアアップシステム(CCUS)については、県土整備部に対し、発注工事で早期に活用されるよう、導入中のインセンティブの効果検証を含め取り組みを進めてほしいと要望。あわせて管内の市町に対する趣旨の説明なども求めた。
 社会問題となっている物価高騰は、できるだけ最新の単価で発注することが求められていると述べた。先日成立した盛土規制法では、9月ごろにも本省から技術的基準(案)や基礎調査実施要領(案)が公表される予定と明らかにし、それに基づき各公共団体が基礎調査を実施して、新たな制度での盛土規制に対応してほしいと求めた。
 水資源機構は、工事の最盛期を迎えている思川開発事業に本年度は事業費202億3400万円を確保して、南摩ダム本体工事や導水施設工事、付替道路工事などを実施すると説明した。ダム本体の先週末の盛立量は約45万立方㍍で、全体の盛立量に対する進捗率は20%となっている。
 県からは、広域道路網の整備で国道4号西那須野道路、矢板大田原バイパス、矢板拡幅の整備促進、新国道4号の平面交差の解消、国道121号日光川治防災の整備推進および藤原地区など未整備区間の支援、工事実施における地元企業の受注機会への配慮などを要望。国道120号金精道路の通年開放に向けた直轄権限代行の整備検討も求めた。
 東日本台風からの復旧と再度災害の防止に向けては、原形復旧が本年3月で完了し、甚大な被害が発生した7河川は改良復旧事業を推進していると説明。砂防事業は、那須岳や日光白根山の火山噴火に対する防災対策の直轄事業の導入などを要望した。
 意見交換では、県からICT活用工事の導入がが伸び悩んでいるとして、関東地方整備局の取り組みを参考にするため引き続き情報提供を要請。小林企画部長は「最終的には中小建設業者に日常的に使われることが大事で、引き続き県と進めていきたい」と答えた。
 また、昨年度の新たな広域道路交通計画で構想路線に位置付けられたつくば・八溝縦貫・白河道路(仮称)と北関東北部横断道路(仮称)について、県から次のステップに進むためどのような準備をすればよいか質問。関東地整の永江浩一郎道路企画官は「今後も改めて情報提供しながら、一緒に考えていきたい」と返答した。

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