郡山遺跡を史跡公園へ 保存活用計画案で方向性(宮城県 仙台市)

[2022/10/1 宮城版]
 仙台市は、太白区にある郡山遺跡約60haの保存活用計画策定に向けた検討を進めている。これまでの発掘調査で多賀城創建以前の官衙(役所)とされ、遺跡面積の約4.5haが国の史跡に指定されている。計画素案では、将来の指定面積を約9haに広げ、スケール感が実感できる史跡公園として整備する方向性を盛り込んだ。2023年秋の計画策定を目指す。

 郡山遺跡は、JR長町駅と国道4号の間に位置する。遺跡範囲は東西約800m、南北約900mで面積は約60万haに及ぶ。これまでの発掘調査で官衙跡が確認され、中心部から南側は2006年、国史跡に指定された。指定面積は、数回の追加指定と10月の指定で面積は約4.5haとなる見通し。

 文化財保護法では、文化財を活用しながら適切に保存するよう改正された。このため、市は、発掘調査や周辺地域の開発行為の進展を踏まえ、新たに同遺跡の保存活用計画を策定する。発掘調査などの指導を行う有識者委員会で検討を進めている。9月29日の第2回会合で市が初めて計画素案を示した。

計画範囲は約60ha

 保存活用計画の計画期間は24~43年度の20年間とする。対象範囲は、遺跡面積とほぼ同じ約60万ha。内容は全9章で構成し、遺跡の本質的価値や国指定の経緯を踏まえ▽保存・管理▽活用▽整備運営および体制整備──の方向性などを盛り込んだ。史跡指定された土地は飛び地のため、将来は約9haの指定を目指す。

 活用では、市内の遺跡をネットワーク化し、学校教育や憩いの場、防災拠点など視点で検討する。整備の方向性は将来的に一体的な史跡公園として整備する。整備までは長期間にわたることが想定されるため、公開活用に向けた一体的な整備まで工区分けや暫定的な整備を検討する。

 復元施設は、2つある官衙のうち、寺院跡を含むII期官衙を展示する。便益・管理施設、ガイダンス施設(調査・修三・展示機能)の整備を検討する。同計画は、来年5月ごろ中間案をまとめ、パブリックコメント実施し、同年9月の策定を目指す。策定後は「整備基本計画」の策定に着手し、整備の開始時期などの検討を進める。

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