県南地区で現地調査 都市軸道路の進捗などを視察(県議会土木委員会)

[2022/10/8 茨城版]
 県議会土木企業立地推進委員会(長谷川重幸委員長)は5日、県南地区で現地調査を実施した。取手市で相野谷川の河川改修事業、つくばみらい市で都市軸道路(野田牛久線)整備事業、つくば市で都市計画道路新都市中央通り線整備事業、土浦市で高度浄水処理施設整備などの視察を行った。土浦土木事務所や竜ケ崎工事事務所、県南水道事務所の担当者らから説明を受けて、各事業の進捗状況を確認した。

 調査ではまず、取手市小文間から寺田地内で進めている相野谷川の改修事業を視察。相野谷川は、常総取手線八丁橋を上流端として利根川に合流する延長約5.4kmの一級河川となる。

 流域の市街化による流出量の増加に対応するため、1979年度に改修事業に着手した。2009年度までに最下流からJR常磐線までの約2.2km区間の改修が完了。現在は、国道6号の交差部の狭あい断面を解消するため、19年度から常陸河川国道事務所と協定を締結し、相野谷川の改築を進めている。総事業費は123億0400万円と試算する。本年度は橋梁下部工事を樋管工事を進めている。

 次につくばみらい市下小目地内に移動し、都市軸道路整備事業の進捗状況を視察した。この道路は埼玉県三郷市の東京外かく環状道路(国道298号)とつくば市の国道354号を結ぶ全長約30kmの広域幹線道路。本県内の区間は千葉県境から国道354号までの約15.6kmとなる。

 このうち、守谷市大柏地内からつくばみらい市東楢戸地内の約8.4kmで事業を進めており、21年度末までに全線暫定2車線で供用を開始した。現在は4車線化の整備を進めている状況にある。この道路整備により、つくばエクスプレス沿線開発地区がより強く結ばれ、将来の交通需要への対応や地域の利便性向上、地域間交流の促進などが期待されている。なお、事業進捗率は昨年度末で86%、総事業費は700億円となる。

 本年度は柳島高架橋下部工事や地盤改良工事などを実施している。今後は早期の供用を目指して、順次整備を進めていくという。

 続いて、つくば市下萱丸地内に移動し、新都市中央通り線整備事業の進捗を確認した。同線は、つくばエクスプレス沿線の開発地区である葛城地区や島名・福田坪地区、萱丸地区と研究学園都市を結び、各地区の連携強化や新たなまちづくりの促進、常磐道谷田部ICへのアクセス性向上を目的とする延長約13.6kmの幹線道路となる。

 この路線は21年度末までに約12km区間の供用を開始。事業を進めている萱丸地区は同線のミッシングリンクとなっており、この区間が供用を開始すると、つくばエクスプレス沿線の各地区が結ばれるとともに、みどりの駅周辺での交通渋滞の緩和や、生活道路への自動車混入の抑制などが期待できる。事業の進捗率は89%となり、総事業費は24億円。本年度は道路改良工事を実施している。

 最後に土浦市大岩田にある県南水道事務所に移動し、導入を進めている新しい高度浄水処理施設整備を見学した。企業局では、供給する水の品質向上や運転経費削減などの課題に対応するため、新しい高度浄水処理技術として「帯磁性イオン交換樹脂処理」と「オゾン促進酸化処理」を採択。このうち、オゾン促進酸化処理施設については、20年度から先行して整備を進めている。

 オゾン促進酸化処理は、かび臭気原因物質そのものと、オゾンと過酸化水素の強力な酸化分解力で、完全に分解する技術。なお、同技術を導入した施設は全国で初となっている。

 現在はオゾン接触池築造工事を進めている段階にある。事業費は約52億円で、進捗率は25.2%となり、23年度内の事業完了を目指している。

 今回の県内調査について、長谷川委員長は「県南地域は、県内でも発展している地域であり、各事業ともスピード感を持って進めている感想を持った。また、ICTをはじめとした新しい技術を活用して事業を進めていることを実感した」などとコメントしている。

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