データの一元化を提言 県道路メンテDX検討委員会

[2022/10/22 茨城版]
 県道路メンテナンスDX検討委員会(委員長・堤盛人筑波大学教授)はこのほど、「県道路メンテナンスDXの推進に向けて」と題する提言書をまとめ、県に提言したことが分かった。主な内容としては、道路メンテナンスプラットフォームの構築や新技術の活用などの推進方針を盛り込んだ。これを受けて県では、各取り組みに着手する。このうち、プラットフォームの構築では、データの一元化に向けて既存システムとの連携を目指していく。今後は26年度を目途に、プラットフォームの構築やAPI連携、新技術の活用を進める見通しだ。

 同委員会は、本県における道路維持管理の現状を踏まえ、道路維持管理を高度化・効率化し、県民の安全・安心な生活の実現のため、道路維持管理におけるDXビジョンを策定することを目的に、21年8月に設置した。委員会は筑波大学や国土交通省国土技術政策総合研究所の学識経験者や県土木部関係者らで構成。これまでに3回の会合を行い、内容を協議してきた。その後、検討内容がまとまり、本年7月6日には県に提言することになった。

 提言書によると、本県では道路延長約4100km、橋梁約2800橋、トンネル19カ所、案内標識約4400基、道路照明約1万7800基をはじめとする施設を管理している。管理方法は、舗装と橋梁、トンネルなど、それぞれ長寿命化計画を策定し、個別のデータベースシステムを構築している。また、日常点検で損傷程度を把握し、優先順位をつけて対応している状況にある。

 こうした状況に加え、技術者不足や国土強靭化対策の効果的な投資、大規模自然災害発生時の早急な道路施設の復旧対応などの課題が山積している。そこで、県では県民生活の安全・安心を実現していくために将来を見据えて、道路メンテナンスにおけるDX推進を検討していくとした。

 提言の推進方針には、▽道路メンテナンスプラットフォームの構築▽新技術の活用▽市町村連携▽公的機関による運用──を盛り込んだ。

 このうち、プラットフォームの構築では、道路メンテナンスに関するさまざまなデータを活用するため、データの集約や複数システム、関係機関との連携が必要だと指摘。また、データにいつでもどこからでもアクセスでき、データ共有が可能となることで、管理者・維持業者の働き方改革と、メンテナンスサービスの向上が期待できるという。

 新技術の活用では、ロボットやドローン、AIなどの技術を組み合わせ、活用していくことを指摘。このほか、市町村と県が情報とデータを共有することや、データの管理・運用は公的機関が担当する必要があることなども提言している。

 県土木部道路維持課では、この提言を受けて、道路メンテナンスプラットフォームの構築や新技術の活用に取り組んでいる。このうち、プラットフォーム関連では、既存の舗装管理や橋梁長寿命化などの個別の維持管理システムの一元化に着手した。

 また、県道路維持管理支援システムの試行にも着手。このシステムは、道路で陥没などの不具合があった場合、管理者と維持業者、通報者間のやり取りをデジタルで実施するものとなる。昨年度には水戸土木事務所で試行を行い、本年度は県内の全土木・工事事務所で試行している状況にあるという。

 新技術としては、トンネル点検の効率化を図るため、本年度に3D点検システムを活用した実証実験を実施した。このほか、ドローンによる橋梁点検も検討している。

 今度のスケジュールは26年度を目途に、メンテナンスプラットフォームの構築やAPI連携、新技術の活用を進めていく。本年度から23年度にかけては、プラットフォームの初期開発を行い、23年度から26年度にかけて開発と管理運営を行う。あわせて、データの整備・蓄積やAPI連携改良、点検・診断へのドローンやロボット、AIの活用も進めていく見通しだ。

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