週休2日に加点措置 工事・業務の積算基準 働き方改革推進へ環境整備(国交省)

[2024/3/1 栃木版]

 国土交通省は、2024年度の土木工事・業務の積算基準等の改定を公表した。4月から労働基準法時間外労働規制の適用が開始されることを踏まえ、直轄工事で受注業者の対応を支援するため、週休2日の「質の向上」の拡大などの働き方改革を強力に推進する。具体的には、完全週休2日の促進のための成績評定の加点措置や現場環境改善の取り組みを定めた実施要領の策定、受注業者の書類作成の負担軽減など。また、円滑な施工体制の確保では地質調査業務の諸経費率を改定し、共通仕様書等の改定やその他の現場実態を踏まえた改定も実施する。これら新基準は、地方ブロック発注者協議会等を通じて全国の都道府県・政令市に情報提供する予定としている。

 同省では実態調査などに基づき、必要に応じて直轄土木工事・業務に適用する積算基準等を改定している。24年度から適用する新基準も、働き方改革のための取り組みの加速や円滑な施工体制の確保など、現場実態を踏まえた各種改定を行う。

 「直轄土木工事における働き方改革」では、週休2日の「質の向上」を拡大し、他産業と遜色のない休日の実現を図る。改正労働基準法が適用される24年4月から、月単位の週休2日の補正係数を新設するとともに、完全週休2日(土日)の促進のため、成績評定での加点措置を実施する。月単位の週休2日の補正係数の新設に伴い、市場単価方式による積算や土木工事標準単価による積算についても見直す。

 時間外労働規制の適用への対応では、勤務時間外作業を避けるため「ウィークリースタンス」を徹底し、工事・業務における現場環境を改善する。全ての工事および業務を対象に、現場環境の改善に向けた取り組みを定めた実施要領を策定し、標準項目として▽依頼日・時間及び期限に関すること▽会議・打合せに関すること▽業務時間外の連絡に関すること-を設けて現場環境改善に努める。

 また、受注業者の書類作成業務のさらなる負担軽減を図るため、受注者(特に現場技術者)を対象に工事関係書類の業務削減に向けた5つの支援メニューを実施する。受発注者の役割分担を明確にしたガイドラインを作成して受発注者への周知徹底を図るほか、完成工事の工事検査書類を44種類から10種類に限定する工事を“原則、実施”することとし、「書類限定検査」として標準するなどの取り組みを進める。

 時間外労働規制適用に対応するための必要経費の見直しでは、最新の実態を踏まえ、書類作成の経費や下請けの本社経費などによる現場管理費の増加を反映する。移動時間を踏まえた積算の適正化では、22年度から施工合理化調査の調査項目として実作業のほか、現場への移動時間などを詳細に把握するよう調査表を見直し、23年度の27工種の分析に反映させる。

 「円滑な施工体制の確保」では、大規模な災害の被災地で工事に必要な資材などの不足や作業効率の低下が発生している実態を踏まえ、歩掛の日当り標準作業量の補正(復興歩掛)や間接工事費の補正(復興係数)を一部見直す。地質調査業務は、実態調査の結果を踏まえて諸経費率を改定する。

 「共通仕様書の改定」は、工事関係で土木工事共通仕様書、施工管理基準、電気通信設備工事共通仕様書について、改正された各種基準類との整合を図るとともに、ICT技術の全面的な活用を推進するため一部改定する。業務関係も、測量業務共通仕様書、地質・土質調査業務共通仕様書、土木設計業務等共通仕様書、電気通信施設設計業務共通仕様書について、各種基準類の改定などを踏まえ一部改定する。

 このほか現場実態を踏まえた改定では、土木工事標準歩掛を改定し▽排水材設置工(構造物背面排水)▽仮締切工(砂防コンクリート締切)▽舗装版削孔工(アスファルト舗装版)-の3工種を新たに制定する。また、使用機械、労務等の変動により▽薬液注入工▽鋼管・既製コンクリート杭打工(中掘工)▽かごマット工(多段積型)▽集排水ボーリング孔洗浄工▽トンネル照明器具清掃工-の5工種を改定し、移動時間を踏まえて▽泥水運搬工-も制定する。

 施工パッケージ型積算基準は、新たに▽型枠工(省力化構造)-を制定するほか▽土工[路体築堤盛土・路床盛土]▽土工(ICT)[掘削]▽土工(ICT)[路体築堤盛土・路床盛土]▽埋戻工▽アンカー工(ロータリーパーカッション式)▽排水性アスファルト舗装工▽路側工-の7工種は日当り施工量、労務、資機材等の改定を行う。また、移動時間を踏まえて▽安定処理工▽場所打擁壁工▽現場取卸工▽伐木除根工▽グラウトホール工▽踏掛版設置工▽舗装版破砕工▽舗装版切断工▽橋梁補強工(コンクリート巻立て)▽電線共同溝工(C・C・BOX)-の10工種を改定する。

 鋼橋製作工は、副資材費、鋼橋製作工および横断歩道橋製作工の歩掛について、製作現場の実態を踏まえ改定。建設機械損料も実態調査結果を踏まえ、新規機種の追加や既存機種の建設機械損料を改定する。設計業務等標準歩掛は、実態調査の結果を踏まえて(地質)解析等調査業務の歩掛「計画準備」を制定する。

 これらの改定は、4月1日以降に入札書提出締切日が設定されるものから適用する。ただし一部について、入札書提出締切日が3月1日から31日の間の案件は旧基準のまま予定価格を算定し、契約後に改定内容に基づいた変更が可能にする。

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