測量・設計から市町支援 中期経営計画策定 無くてはならない存在に(とちぎ建設技術センター)

[2024/3/23 栃木版]

 とちぎ建設技術センター(田城均理事長)は、2024年度を初年度とする第4期中期経営計画を策定した。計画期間は28年度までの5カ年で、経営理念には豊かな社会づくりへの貢献や質の高い技術支援、企業価値の向上といった3項目を掲げる。第4期から新たに、公共事業における測量・設計段階からの技術支援に取り組むほか、水道整備・管理行政の移管を踏まえた上水道施設管理の技術支援、さらにはインフラDXの推進にも取り組み、県や市町に対する技術支援をこれまで以上に行うことで、10年後に県や市町にとって「無くてはならない存在」になることを目指す。

 同センターは、「第3期中期経営計画(19年度~23年度)」の達成状況の検証を踏まえ、10年後の将来像を見据えたうえで、今後5年間の戦略的「第4期中期経営計画」を策定した。

 計画策定の背景として、人口の減少とそれに伴う経済・産業活動の縮小によって、地方財政はますます厳しさを増していくことが予想される。県や市町村の土木職員数は減少傾向で推移すると予測され、全国の市町村では技術系職員5人以下が約5割を占めている。建設業界は働き方改革の早急な対応が求められており、資材価格も高騰。インフラは、建設後50年以上が経過する施設の割合が加速度的に高くなっていく。

 このような状況からセンターの経営は、公共事業費が減額された場合や建設工事価格の増額に伴い、工事発注件数が減少した場合はセンターの受託業務量も減少すると考えられる。職員の人件費高騰が経営を圧迫すると考えられ、公益目的事業である下水道維持管理事業費が縮小された場合、財務3基準の達成が困難になると考えられる。

 これらを踏まえ、経営理念には▽公益法人として、専門的で高度な技術力を生かし、豊かな社会づくりに貢献するとともに、経営の安定を図る▽「願客第一!現場第一!品質第一!」の精神のもと、質の高い技術支援、研修、調査研究などに積極的に取り組む▽企業価値の向上を目指す。そのために、企業活動を支える職員の能力開発と意欲向上を図りながら、働きがいのある職場づくりを進める-の3項目を掲げた。また、組織運営の基本方針は▽経営の安定▽県や市町等事業の支援▽自主事業の推進▽企業価値の向上と人材青成▽デジタル技術の活用とDXの推進-の5本柱を立てた。

 基本方針の目標達成のための実施方針として、「経営の継続的な安定」では県や市町等の顧客ニーズに留意し、適正な経営管理を行う。総務部は効率的で柔軟性のある組織づくりをはじめ、適正な職員配置を行うためOB職員の雇用期間延長に取り組む。建設部は、顧客ニーズの適時・的確な把握や、所属間・時期的な業務執行の平準化、実務担当者の業務執行力を研さんするための取り組みで、経営安定に必要な業務量を確保する。

 建築部も、顧客ニーズに応えて業務量を確保するほか、市町や関係機関に公共建築工事の専門技術者による技術支援の必要性を啓発し、需要を喚起する。下水道部は、県が発注する改築や更新工事の積算、現場管理業務にも技術支援を行う。

 「県や市町等への支援の強化」では、技術職員が不足する市町に対し幅広い技術支援体制を強化する。企画調査部は市町に定期訪問を行い、工事積算や建設工事全般に対する技術支援に取り組む。建設部は、技術支援が必要な市町に引き続き技術支援を行うほか、新たに測量・設計段階からの技術支援などにも取り組む。加えて建設部・建築部・下水道部では、市町の公共事業における事業のプロジェクトマネジメントなどの取り組みを支援する。

 また、国が編成する補正予算や早急な対応が要求される災害復旧事業への柔軟かつ迅速、確実な技術支援を行うとともに、県土強靭化、防災・減災対策の取り組みについて的確な技術支援を行う。企画調査部は、自然災害発生時に適切に災害復旧技術アドバイザーを市町に派遣。建設部は、県や市町で短期間での対応が求められる災害復旧や補正予算などの事業について、工事積算や現場管理業務など迅速かつ的確な技術支援を行う。

 社会資本の老朽化に対しては、計画的・効率的な長寿命化対策に関する技術支援を強化する。企画調査部は道路施設をはじめとした公共施設の点検などを、豊富な経験や実績を基に幅広く技術支援する。建設部は、迅速かつ計画的な技術支援が可能となる体制確保や技術力向上を図る。

 上下水道は、施設の老朽化や人口減少等の課題を踏まえた技術支援を強化するとともに、市町との緊急支援協定に基づく支援体制の強化を図る。下水道部は、国・県が推進している下水道関連施設の広域化・共同化について、市町への技術支援を行う。また、流域下水道の施設管理で培った技術を活用して、市町の公共下水道や上水道などの施設管理に関する技術支援に取り組む。さらに、公共下水道へのウォーターPPP導入を検討する市町に技術支援を行う。

 「デジタル技術の活用とDXの推進」では、人口減少や建設技術者不足を踏まえた建設現場の生産性向上のため、ICTの活用について支援を行う。企画調査部は、社会資本整備・保全に関するBIM/CIMやICT活用工事などのインフラDXについて情報収集を行うとともに、ICT活用に関する講習会の開催など、時代の潮流に即した支援と普及啓発に取り組む。

 また、BIM/CIM普及促進のための調査研究に取り組む。企画調査部は県や市町などにCIMの普及促進を図るとともに、CIM最新情報を取得し、調査研究に取り組む。建築部は、県の建築BIM導入に呼応した支援を推進していく。

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