印西市の藤代新市長が就任インタビュー 公民連携視野にまちづくり 市庁舎あり方や公園整備など

インタビューに応じる藤代市長

インタビューに応じる藤代市長

[2024/10/2 千葉版]
 新たな市政のスタートから、約2カ月を経た印西市の藤代健吾新市長が独占インタビューに応じた。建設関連では、市役所庁舎のあり方検討をはじめ、新クリーンセンターの付帯施設、公園整備、印旛中央地区の整備推進、シンボル施設の誘致といった公民連携も視野に入れた大型事業が控えている。選挙戦を勝ち抜いた原動力の1つだという「活動量」をもとに「会える市長」として自ら現場へ趣くとともに、未来を見据えて市民らと一体となったまちづくりに着手した藤代市長に、これからの展望を聞いた。

 ──まず市長に就任した感想を。

 「市民の命を預かる者として、その重みを感じているところだ。特に能登半島ではまた大雨が降ったが、先日は台風が2度ほどこちらへ向かって来ようとするなど、そういった災害から市民をしっかり守れる体制を整えていくことが最優先だとあらためて認識した。

 「また市役所職員の方々には、若いながらもこちらの要望や取り組みに可能な限り対応してもらっていることには感謝したいし、まだまだ現場でわからないことも多い。先日も時間を取って来年度を含めこれからの4年間、さらにその先を見据えた市政方針を職員らに説明する場を設けさせてもらった」

 「これからも、一方的にばかりではなくお互いの価値観を共有し理解を深め合うことで、広い市域とそこに住む住民らへの行政サービスを引き続きカバーしてもらうとともに〝地に足がついた〟まちづくりを皆で一歩一歩進めていきたい」

 ──市役所庁舎のあり方など、今後で控える建設事業について。

 「市役所を考える際にはハード面だけでなくソフト面も重要だ。複雑化するニーズに対応するためには、それに適した多様な人材を採用し育成しなければならないと考えている。デジタル化やペーパーレスといったことも考慮しながら、利用者にとってだけでなく市職員の業務面も含め、市の転換点となるべく新しいあり方を考えていきたい」

 「市内には印旛支所など市役所の分庁舎機能を担う施設は複数あり、地域に適した分散型の方針は変わらない。本庁舎は築年から40年を迎えているが、柔軟性を持ちつつ、市民の意見や財政面、他の事業との優先順位を考慮しながら、判断して推進していきたい」

 「また今後控えるのは、広域になるが印西地区環境整備事業組合によるものとして、このほど着工した次期中間処理施設(新クリーンセンター)の整備に関連する地域振興(付帯施設)については、計画を進めていく方針だ」

 「それ以外では、県とも協議しつつ、県営、市営公園双方でのParkPFI導入に向けた検討を進めたい。さらに、旧印旛村地区の約100haを対象とした印旛中央土地区画整理事業に関しては発起人会が立ち上がり、事業を進めようとしているところだ」

 「このほか、もう少し時間をとって取り組むものとして北千葉道路沿いでのシンボル施設の誘致も考えている。県や国、民間企業と連携して中長期的に進めていければと考えている」

 「いずれの事業にしても、これからは市単独だけではなく公民連携も視野に入れた整備も検討していかなければならない。市は、これまでは幸いにもデータセンターをはじめとして多くの民間企業から提案を頂けていたが、成田国際空港から近いことも活かして今後は自らがトップセールスに立つことで、海外企業との連携も含めた、新たなまちづくりの展開につなげていきたい」

 ──地元の建設業関連団体との協力関係について。

 「非常にまちの事を想って、本来の建設業だけでなく様々な活動を通じて地域に貢献していただいている方々が多いのが印西市の建設関連企業だと感じている。それこそ雪が降った時は雪かきのために自社の建機を動かしていただくなど、率直に感謝している」

 「その上で、強くてしなやかな地元経済とコミュニティをつくっていくためには地元企業の方々がある意味で主役だと思っている。公平性を担保した上でフェアな制度により、できる限り地元企業の方が活躍してもらう形で地域の中で経済が回っていくやり方を、市としても引き続き模索し、地域が一体となって発展していきたい」

 ──今後の展望など。

 「私は刷新であるとか物事を急激に変えていくという印象を持たれているかもしれないが、まちづくりをしっかりやっていく上で、ある程度の時間がかかるのは致し方ないと理解している。そんな中、一番大切にしているのは対話であり、共につくっていくというところだと思っている。それは、市職員はもとより市民の方々も同様だ。全ての方々と話をしながら着実に印西市を良くしていけるようなまちづくりを進めていきたい」

 「その時に大事なのは、今いる方はもちろん、これまでこの地域をつくってきてくださった先人の方々、そして未来だ。選挙戦でも示した30年や50年先だけでなく、それを越えて100年・200年と、この先の未来を生きていく方々のことも考えながら、1つずつ良いまちをつくっていくという視点を忘れることなく歩んでいきたい」

 「そうした地に足をつけたまちづくりを進めた結果、都市と自然の調和をはじめ市民参画や市民連携といった印西がこれまで培ってきた良い文化にもとづき、世界のモデルとなれるようなまちを、皆さんとつくりあげていくことができれば、これほど幸せなことはない。全力で取り組んでいきたい」

■プロフィル
ふじしろ・けんご

 1984年11月2日生まれの39歳。印西市山田地区出身。市内の瀬戸幼稚園、六合小学校、印旛中学校を卒業後、県立佐倉高等学校、早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科に進学。大学在学中に米国ワシントンD.C.へ留学するなど海外経験も豊富。大学卒業後は国際協力銀行にて日本企業の海外展開・インフラ輸出・PPP案件の組成支援などに従事した上で、戦略コンサルティングファームのボストン・コンサルティング・グループ、政策シンクタンクの青山社中、印西市におけるまちづくりイベント開催や政策提言などを活動内容とする弥治右衛門合同会社でキャリアを築き、6氏による大激戦となった選挙戦を制し今年7月28日に市長へ就任している。趣味はサウナ、バスケなど。座右の銘には偉人・西郷隆盛氏と同じ「敬天愛人」を掲げるとともに、自身も好きだという市の田園風景を引き合いに「大切なものを守るためには変わり続けなければならない」との地域への思いも語った。

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