監理技術者の途中交代 要件緩和を要望(日建連東北が整備局に)

[2024/5/15 宮城版]
 日本建設業連合会東北支部(支部長・横井隆幸鹿島建設執行役員東北支店長)は13日、仙台市内で東北地方整備局との意見交換会を開催した。日建連は技術者の離職理由の多くが転勤であり、その背景に現行の監理技術者制度の運用面に関する課題が多いと指摘。監理技術者の途中交代に関する運用緩和を要望した。同局は国土交通本省とも協議して検討すると応じた。

 意見交換会には同局から西村拓局長ら17人、日建連から横井支部長ら13人が出席。主に▽公共工事予算の確保と入札・契約制度の重要性▽生産性向上の推進▽総合評価入札制度と段階選抜▽工事事故防止の取り組み──の4つをテーマに話し合った。

 あいさつで西村局長は、4月に第1次国土強靭化実施計画の素案が公表され、2026~30年度の5年間でおおむね20兆円超の事業費が投入される見通しであることを紹介。「正式な決定は6月の予定だが、事業推進に必要な予算確保に一定の見通しが立ちつつある」と述べ、日建連らの「継続的な要望活動の成果でもある」と感謝した。

 意見交換では最初に横井支部長が予算の確保と入札・契約制度に関し、受注者に責のない予算超過に起因した工事打ち切りを回避するよう要望。併せて、適切な条件明示による当初発注と、現場条件の相違に起因する変更増に対応した十分な予算確保を願った。

 同局は他の地方整備局の工事と比較して、当初工事からの数量減や工事の打ち切りが多くなっていることに関し、「主にトンネル工事で想定していた以上に地質状況が悪く、改めて調査が必要になったものが多い」と理由を説明。今後は「工事着手前の調査をしっかり行い、設計の精度を上げるように努める」と回答した。

 本年度から本官工事において、変更見込み金額が当初の2倍以上となる場合や、新たな工種・工区を追加する場合の契約変更に当たり、事前に第三者委員会に意見を徴取して変更理由などを確認する手続きが実施されることに関しては、「工事の進捗に影響が生じないように必要な手続きを速やかに進める」とした。

 生産性向上のテーマでは、日建連の会員各社が自動施工システム、デジタルツイン、3DプリティングなどのICTやDXを現場に実装しているものの、現在は創意工夫や技術提案で設計仕様変更なしでの取り組みとなっていることから、仕様変更を許容する「技術提案評価型SI型」を積極的に活用するよう求めた。

 さらに日建連は、2040年までに建設現場で3割の省人化を進め生産性を1.5倍向上させる「i-コンストラクション2.0」の実現に向け▽成果を見える化するため複数年ごとの段階的な目標値を設定する▽現場で実装中のICT・DX技術について工期の期間2分の1で成果を評価する▽課題を抽出するための未達ペナルティなしの現場試行を行う──ことなどを提案した。

 同局は「技術提案評価型SI型」に関し、「本年度に複数の工事で試行したい」と回答。その際は「フォローアップで従来のS型では提案しえなかった仕様等の変更提案により、品質や安全性、環境等の改善につなげられたかを確認するので協力してほしい」と呼び掛けた。

 「i-コンストラクション2.0」に関する日建連の提案に対しては、日建連側と十分に認識が共有できていないため、「具体的な内容や実施方法を教えていただきながら、お互いに知恵や工夫を出し合いながら連携して一緒に取り組みたい」と応じた。

 総合評価入札制度のテーマでは、日建連が「監理技術者の途中交代が原則として認められておらず、交代が認められても条件が限定的」とし、「技術者の固定化や女性技術者の現場配属の阻害要因になっている」と問題を提起した。

 その上で請負会社の責任施工を前提に、監理技術者の途中交代に関する運用緩和を要望。監理技術者要件に合わせて「工期の2分の1の従事や、365日の従事での交替を可能にする」といった柔軟な対応を検討するよう求めた。

 同局は「整備局だけで変えられるものでなく全国的な課題。本省との協議が必要になってくる」と回答。併せて「請負会社の責任施工を前提とすることが非常に重要になってくる。その点に関し具体的なことを教えていただければ、それをヒントにしながら本省とも協議できる」と伝えた。

 日建連は多くの者に監理技術者の実績を積ませることができるような工夫も求めた。具体的には監理技術者の実績がある者を現場代理人や主任技術者にすることも可能とし、その者が補佐することを条件に実績がない者でも監理技術者にできるような仕組みを願った。

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