建築物は5%削減 公共施設管理方針の第2期案(県管財課)
[2025/11/1 栃木版]
県管財課は10月29日、県公共施設等総合管理基本方針(第2期)の案を公表し、パブリックコメントを開始した。第2期は2026年度から35年度までの今後10年間の取組方針を示し、基本的な考え方として「安全・安心の確保」「公共施設等の長寿命化」「公共施設等の最適化」の3つの方針を掲げる。数値目標には、10年間で建築物の延床面積を23年度比で5%削減させる。またインフラ施設は、施設類型ごとに特性が大きく異なるため一律の数値目標は設けないが、各個別施設計画に基づいて総量最適化やコスト縮減などに努める。
本県は16年度に「県公共施設等総合管理基本方針」(第1期)を策定し、「安全・安心の確保」「公共施設等の長寿命化」「公共施設等の最適化」の3つの方針のもとで行政サービスの維持・向上に取り組んできた。
第1期の方針は25年度で満了を迎えるが、引き続き人口減少・少子高齢化の進行や気候変動の顕在化などへの対応が求められていることから、第1期での取り組みや成果、公共施設をとりまく現状や課題を踏まえ、今後の方向性や総量最適化等の基本的な考え方を改めて整理して、このほど第2期の基本方針案を策定した。
対象とする公共施設等は、県が所有または管理するすべての施設とする。「建築物」は庁舎等や県営住宅、学校、警察・消防、企業施設、「インフラ施設」は道路、河川、砂防、ダム、下水道、都市公園、空港、農業水利施設、治山施設、林道、自然公園等施設、発電施設、水道・工業用水道施設、交通安全施設となっている。
16年度から24年度の取り組み状況は、建築物が長寿命化工事298棟と集約化11施設、解体333棟を実施した。道路は長寿命化工事を橋梁475橋、歩道橋81橋、トンネル66本、道路アンダー10カ所、シェッド14カ所、舗装約1400kmで、廃止を橋梁1橋で実施している。
また、河川は長寿命化工事10件と最適化(堰統合)1件、砂防は長寿命化工事19カ所、ダムは長寿命化工事146カ所、下水道は長寿命化工事26設備と最適化(農業集落排水施設の下水道への接続)6市町で実施。都市公園や農業水利施設、治山施設などの各施設も、それぞれ長寿命化工事や最適化を実施している。
公共施設等の維持管理・修繕・更新等の中長期的な経費の試算では、建築物で長寿命化対策を実施しない場合、50年間の維持管理・修繕・更新等の経費は年平均約358億円となる。一方、長寿命化対策を実施した場合は50年間で年平均約334億円となり、長寿命化対策を実施しない場合と比べて年間約24億円の経費縮減が期待できる。
インフラ施設についても、長寿命化対策を実施しない場合の50年間の経費は年平均約412億円となるが、長寿命化対策を実施した場合は年平均約261億円となり、長寿命化対策を実施しない場合と比べて年間約151億円もの経費縮減が期待できると試算する。
第2期の案では、基本的な考え方として第1期と同様に「安全・安心の確保」「公共施設等の長寿命化」「公共施設等の最適化」の3つの方針を掲げた。「安全・安心の確保」では、適時適切に点検・診断や維持保全を行い、事故防止や防災・減災を図ることで県民の安全・安心を確保する。
「公共施設等の長寿命化」は、財政負担の軽減・平準化および建築物性能の維持のため、優先順位を設定して予防保全による長寿命化を推進する。「公共施設等の最適化」では、適正な規模・配置等を踏まえた利活用を検討し、保有する建築物の最適化を図る。またインフラ施設は、事故防止・防災等の観点に加え人口減少も見据え、利用見込みのないものは除却を推進する。
 取り組みの推進に当たっては、国庫補助金や財政措置のある有利な地方債(公共施設等適正管理推進事業債等)、栃木県県有施設整備基金等の活用に努め、一般財源の負
担軽減を図る。また、利活用予定のない財産の売却等で歳入確保を図る。
数値目標として、建築物は延床面積を35年度までに23年度比で5%削減する。インフラ施設については、道路やダム、公園、発電施設など多岐に渡り、施設類型ごとに特性が大きく異なるため一律の数値目標は設けないが、各個別施設計画に基づき総量最適化やコスト縮減等に努める。
第2期の案は県のホームページのほか、県民プラザおよび各県民相談室で公表する。意見のある人は28日(必着)までに、任意の様式で県経営管理部管財課財産活用推進室へ郵送か電子メールで提出する。寄せられた意見も踏まえて、26年3月に県公共施設等総合管理基本方針(第2期)を策定する予定。
詳しい問い合わせは、管財課028-623-2095へ。
